第94回アカデミー賞で、邦画で史上初の作品賞、脚色賞(共同脚本の大江崇允氏も)監督賞、国際長編映画賞の計4部門にノミネートされた、「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(43)が9日、滞在先のドイツからオンラインで会見を開いた。

濱口監督は会見の冒頭で「このたびは、4部門にノミネートされたということで、率直に言って大変、驚いております。飛行機から降りたら、メッセージがたくさんきていた」と率直な思いを語った。その上で「どうして、こういうことが起きたのかというのは本当に分からないというのが正直なところ。村上さんの物語の力、それを(演技として)実現した役者の力、スタッフの仕事の成果というところを伝えたい」と原作者の村上春樹氏(72)、主演の西島秀俊(50)ら出演者や俳優陣に感謝した。

その上で、アカデミー賞の印象について「なかなか想像できない。どういう場なのか全く、分からないので」と率直な思いを語った。その上で「ウエスト・サイド・ストーリー」(11日公開)が作品賞、監督賞などにノミネートされた米国のスティーブン・スピルバーグ監督(75)、製作を務めた「ドリームプラン」で作品賞に加え、自身も主演男優賞にノミネートされた米俳優ウイル・スミス(53)、「マクベス」で同賞にノミネートされたデンゼル・ワシントン(67)の名を挙げ「自分自身が映画を見始めた頃から仕事をされているような、スピルバーグ監督とかウィル・スミスさん、デンゼル・ワシントンさんがいる場に、自分が行くということになる。その場にいられることを単純に楽しみたいということに尽きる」と語った。

邦画で初の作品賞にノミネートされたアカデミー賞での立ち位置は? と聞かれると「アカデミー賞の立場にはない、というのが正直なところ」と苦笑いした。その上で「ただただ、夢の舞台という感覚。ハリウッド映画は夢の舞台、夢の工場…その中心部で行われるセレモニー。子供の頃から、とっても華やかな場所として見ていた。ノミネートが決まって信じられなかったという気持ちも、夢の世界と自分が繋がっているということが、なかなか信じられない」と語った。

21年に短編集「偶然と想像」がベルリン映画祭で審査員大賞(銀熊賞)、「ドライブ・マイ・カー」がカンヌ映画祭で邦画初の脚本賞と、21年の1年間で世界3大映画祭のうち2つで主要賞を受賞するなど、海外の映画祭への参加経験はある。それでも、アカデミー賞は格別だという。「(スピルバーグ監督をはじめ)集まっている面々が、とても濃い。そこと自分たちの映画、日本映画が具体的に繋がっている。外国映画のために用意された部門じゃなく、作品賞、監督賞、脚色賞という本戦的な部門でノミネートされたということは、自分の作品であることを置いておいて、すごいこと、歴史の中にいます」とかみしめるように語った。

その一方で「実感ということではなく、本当に皆さんがニュースでご覧になるような感じで、へぇ…すごいなということを、自分自身も感じているということですね」と笑みを浮かべた。