「ありがとう…感謝」などのヒット曲で知られる演歌歌手小金沢昇司(こがねざわ・しょうじ)さん(本名同じ)が11日、神奈川県内の病院で呼吸不全のために死去したことが15日、分かった。65歳だった。
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小金沢さんは家族思いで情に厚く、そして不器用な人だった。
08年に母正子さんが入所する施設でミニコンサートを開催したことがある。正子さんは認知症を発症し、歩行が困難となって約2年前から入所していた。「自分の歌で喜んでもらえるなら」と入所者や家族ら約200人を前にヒット曲「ありがとう…感謝」などを歌唱。もちろん、ギャラはなし。介護の大変さを身をもって知るだけに、気持ちを込めて、涙をこらえながら丁寧に歌っていた姿が印象的だった。この日は偶然にも、マザコンを公言する小金沢さんの50歳の誕生日。「最高の親孝行ができた」と笑顔を見せていた。
16年に「大麻所持か?」と一部で報じられた際は、真顔で「絶対にそんなことはしない」と顔を真っ赤にして怒り、損害賠償や謝罪を求めて訴えた。報じた側が「記事の裏付け取材が不十分だった」と認めて裁判は和解。この時も「事実無根のことで疑われて家族らに迷惑をかけた」と子どもたちを思いやっていた。
20年11月には酒を飲んで車を運転したとして、道交法違反(酒気帯び)の疑いで逮捕された(不起訴処分)。酒気帯び運転に弁明の余地は一切ない。ただ、以前、小金沢さんと一緒に酒を飲んだ際は、車を駐車場に置いて「飲酒運転はいけないことだから」とタクシーで帰宅。いつもそうしていると本人もスタッフも言っていた。だから、第一報を聞いた際の思いは「えっ、何で」。後で人づてに聞いたところでは車の中で仮眠を取り、「もう大丈夫」と甘い判断をしてからハンドルを握ったという。もう少し長く休んでからにしておけば…。残念でならない。
北島三郎の付き人時代、誰よりも一生懸命やっているのに要領が悪く、いつもしかられてばかりだったと話していたことも思い出す。
「ヒット曲を出したい。そうでないと『歌手』でなく『カス』だから」と、いつも自嘲ぎみに口にしていた小金沢さん。「もう1度、ヒットを飛ばしたい」の思いをかなえる前に旅立ったことが残念でならない。【松本久】



