★民主主義の根幹をなす多数決の原理を選挙では得票の多い人を当選の対象としているのが衆院の小選挙区制度だが、衆参に比例代表制度が設けられているのは少数政党や新党も議会進出しやすく、民意の切り捨てが少ないためだ。国民の幅広い声をできるだけ正確に議会に届け、死票を減らす効果もある。それを衆参でこつこつと続け議席を増やしたのが、公明党、日本維新の会、参政党、日本保守党、いのちの党、チームみらいといえる。ただ小選挙区での当選は極端に少なく、比例当選ならば各地での候補者擁立とそれを担保する資金さえあれば、一定の議席を手に入れることができる。
★自民党は昔、補選での当選を0・5人前として扱った時期があり、比例当選の議員は組織票が多いものの地べたをはう“選挙”をしていない半人前のように考えた時期があった。今は比例候補が中心の党が増えたからか半人前と扱うことはなくなったのだろうが、立候補時に地元の「小選挙区」と、その地域を含む「比例代表ブロック」の両方に名前を載せて、条件がそろえば小選挙区で落選しながら比例復活が可能だ。候補者にとっては救世主だが、有権者にとってはゾンビ議員と揶揄(やゆ)される。
★元首相・田中角栄の「金脈問題」について、自民党田中派担当の大手の新聞社やテレビの政治部記者たちの多くは、その不透明な実態を「とっくに知っていた」としながら報道しなかった。金権体質に対して甘い社会であったろうし、今とは時代が違い、国土のインフラ整備途上の時代もあったのかもしれない。また田中の懐柔のうまさで恩恵にあずかるものもいたのかもしれない。読んで字のごとく金権とはカネと権力が結びつくことだ。選挙区で落選した農相・簗和夫は予算カットをちらつかせた利益誘導・恫喝(どうかつ)は正当な影響力、つまり権力を使った、狭小化した個人的な権力欲の行使でしかない。つまり今までも権力の影響力を大きく見せ、国民や有権者を恫喝してきた。しかし街頭演説で恫喝するお粗末議員は党内からもパージされてきた。ところが任命した首相・高市早苗は簗を守るとしたが、それは自らの利益誘導型政治を肯定しただけだ。権力とはそういうものとうそぶく前に、遠くで批判せず堕落した与党政治を正す内部からの地殻変動はないか。(K)※敬称略


