★農相・簗和生は首相・高市早苗が守り切るようだが、世論の反発は大きく党内からも批判が絶えない。9日、自民党の「党農業構造転換推進委員会」でベテランの鈴木宗男が簗に「あなたは今耳目を集めてる、まず冒頭にお騒がせしてますとか、しっかり説明責任を果たすとかあいさつがあってしかるべきではないか、決意表明の前に、人としての矜持(きょうじ)が問われているんだ」と先にあいさつした簗を一喝。簗は立ち上がり深く頭を下げて謝罪した。
★確かに簗の発言は特定の自治体に対する「えこひいき」や意趣返し(報復)とも取れる権力的・威圧的な発言とも言え、立憲民主党代表代行・辻元清美は「政権与党の議席がなくなったら地域の予算というのはごっそり削られますよとか、予算が減りますよとか、予算を盾にとっての有権者への脅し」との見方を示した。また鈴木が言うように、発言後の火消しや釈明の発言が火に油を注ぐようなものばかりで、反省が感じられず、国民のみならず与野党議員の不快感を増長させた。これは簗自身の器の問題なのか、首相の庇護(ひご)があるため、世の中をなめてかかっているのか、本音を言ってどこが悪いと開き直ったか。
★「ご指摘は当たらない」「お答えは控えさせていただく」など何も言っていないのに何か言ったように思わせる、あえて国民の政治への関心を失わさせる、うんざりさせるなど政治用語を分析した藤井青銅著「国会話法の正体 政界に巣くう怪しいレトリック」(柏書房)がある。19年の安倍内閣当時、桜を見る会に反社会勢力が出席していたとの報に官房長官・菅義偉は「出席は把握していなかったが、結果的には入ったのだろう」と出席は認めたものの「反社会勢力の定義は一義的に定まっているわけではない」として全体をぼやかし論点をずらしたと指摘する藤川直哉著「誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治」(講談社)も詳しい。既に分析は大いに行われている。政界の言い訳構文は平然と使われるが、その詭弁(きべん)をうんざりさせ、どうでもよいと思わせれば結果、政治の勝ちになる。言論の府のロジックにだまされてはいけない。(K)※敬称略


