小池百合子都知事VS都議会自民の「ドン」内田茂氏の「代理戦争」となる千代田区長選(29日告示、2月5日投開票)。自民党東京都連が推薦する与謝野信氏(41)の陣営は15日、都内で厳戒態勢の総決起大会を開いた。内田氏のあいさつだけ報道陣に公開され、菅義偉官房長官らの発言は非公開。負けられない戦いだけに、ピリピリした空気が漂った。

 会合は、冒頭から緊張していた。出席者の出入りは撮影できず、千代田総支部臨時会合の内田氏あいさつだけ、取材が許された。

 内田氏は約500人の出席者に、昨秋からの候補者選考が難航し、決定が年明けにずれ込んだ経緯を説明して陳謝。その上で「優秀な人材に会えた。千代田区は東京、日本、ある意味世界の中心で、首長を決める選挙は大変重要。当選を目指して頑張りたい」。勝敗は、今夏の都議選出馬を明言していない内田氏の今後を左右する。小池氏&現職・石川雅己氏との戦いへ、ドンの決意を口にした。

 続いて行われた総決起大会は、メディアをシャットアウト。会では安倍晋三首相の懐刀、菅氏があいさつした。安倍官邸と小池氏の関係は、悪くない。菅氏が、小池&石川連合の対立候補を激励する様子を、おおっぴらにしたくない事情もあったとみられる。菅氏は与謝野氏に「千代田区の国際化推進に期待する」「こんなリスクを取れる人はいない」と述べたという。

 小池氏は党費未納を明かしたが、今も自民党員。区長選は昨年の都知事選に続く、自民分裂選挙だ。前回は石川氏を支援し、今回は与謝野氏支援に回る区議もいる。身内の複雑な人間関係を反映した戦いを前に、関係者の口は重かった。

 それでも、選挙の総決起大会がメディア非公開なのは珍しい。終了後、与謝野氏は「この形がいいという選対の判断。私もカメラを意識せずに訴えたかった」と説明。与謝野馨氏のおいを候補者に選んだ都連の判断を「自民党的」と世襲批判した小池氏に対し、「今までは、現職や行政経験のある方を選んだはず。自分のような人間が選ばれたのは大きな変化で、自民党も変わろうとしている」と反論する場面もあった。

 来週には石川氏が総決起大会を開き、小池氏も出席する。両陣営の激突が本格化してきた。【中山知子】