今回の衆院選は、民進党の分裂による政局の大混乱に多くの候補者が翻弄(ほんろう)された。広島3区から立候補した前都議の塩村文夏氏(39)もその1人。民進の公認を受けるも、希望の党への合流で白紙になり、希望の1次公認が出る前に無所属での出馬を決めた。まれに見る政局の渦に身を置き、選挙戦本番にこぎ着けた新人の戦いを追った。
小池劇場は、東京から約670キロ離れた広島でも猛威をふるった。民進党の前原代表が9月28日、希望との合流を発表後、党内に出回った書類を読む限り「民進は全員、希望に行くんだろうという印象だった」と塩村氏。「幅広い政策実現が可能だと思ったし、前原さんを信じ、合流は考えた」。しかし、民進の思惑はもろくも崩れる。
同29日、希望の小池百合子代表はリベラル派について「排除する」と発言。希望が出した政策協定書には安保法制に賛同する旨の文言が記載され「踏み絵」を迫った。「政策面で絶望的になってきた…」。さらに小池氏の「排除発言」を聞いて「社会を包摂する政治家として正反対の発言で、驚いた」と語った。
「3時間ごとに状況が変わった」という混乱の中で「1次公認には入らない」「民進出身の公認は2次になる」などと不確かな情報が飛び交った。そして、印刷物が間に合わず選挙戦本番に支障を来すと判断し、希望が1次公認を発表した前日の今月2日、無所属を決めた。3日には同じ民進だった枝野氏が立憲民主党を発足。地元支援者の中には「立憲に入れば」との声もあったが、連合支援の下、無所属で戦う。共産党も候補者を取り下げたため、リベラル層の獲得が期待できる。
前原氏へは「民進の代表選時にこのような考えがあると言っててほしかった」と語る。希望の公認から外れた候補者もそう口をそろえるという。一方、都議として約1年間向き合った小池都知事の一連の動きに「豊洲移転を中断するなど、転換力はすごい。でも着地する責任に課題があると思う」と、都政運営とからめて分析。希望への合流は「行かなくて良かったと思う」と述べた。
14年6月、都議会中にセクハラやじを受けて、国際メディアから取材を受けるほど注目された。しかし、17年10月の広島では、小中学生に「こいけゆりこ?」「とよたまゆこ?」などと言われてしまった。「知名度も東京とは全然違う。厳しいですが、社会を包摂できる政治家を目指して頑張りたい」と意気込んだ。【三須一紀】

