日本代表がワールドカップ(W杯)決勝トーナメント初勝利にあと1歩まで迫った3日未明のベルギー戦。キックオフは午前3時だったが、国内のパブリックビューイング(PV)会場などには多くの人たちが集まった。先制点を決めたMF原口元気(27=デュッセルドルフ)の地元、埼玉県熊谷市では市役所でのPVで大きな歓声が上がった。富岡清市長(65)は「熊谷市民の誇り」として、原口を特別表彰する方向で調整に入った。

 後半3分。MF柴崎岳(26)からの長いスルーパスを受けた原口のシュートが左サイドネットをゆらした。熊谷市役所1階ロビーのPV会場には空が白み始めた時間にもかかわらず、集まった約40人が一斉に立ち上がり、原口のW杯初ゴールに絶叫。「熊谷の星」原口コールを繰り返し、ハイタッチを交わした。

 追加点を加え、初の8強が現実味を帯びてくると、会場は大歓声に包まれたが、終盤の大逆転負けにガックリ。しかし、原口ら日本代表の死闘に「よく頑張った」との声があふれた。原口のいとこで大学3年の原口大知さん(21)は「初ゴールおめでとうと声を掛けたい」と祝福した。

 熱い戦いは明け方に終わった。しかし、猛暑の町と知られ、この日も気温35・9度を記録した熊谷の熱は冷めなかった。富岡清市長は、原口が中学3年だった06年にU15日本代表として出場した国際大会の優勝報告などで、たびたび表敬訪問を受けており、成長した姿に喜びもひとしお。「攻守にわたる素晴らしい活躍は私たち熊谷市民の誇り。多くの人々にたくさんの元気と勇気、そして希望を与えてくれた」と絶賛。市として特別表彰を検討している。

 さらにドイツのハノーファーに移籍する原口に対し「新天地でのさらなる活躍をお祈りするとともに、これからも熊谷から熱い声援を送り続けたい」とコメント。熊谷市は来年9月のラグビーW杯の開催地でもあり、「この盛り上がりを、いよいよ来年に迫ったラグビーW杯につなげ、熊谷での試合が記憶に残る素晴らしい大会になるよう準備を進めたい」と話した。