「未曽有」の出来事があまりにも多い7月だった。西日本を襲った豪雨災害は、200を超える人が命を落とし、平成で最悪の豪雨被害に。暑さも、気象庁をして「ひとつの災害」といわしめ、「暑さ日本一」の更新が続いたが、日本一を喜んでばかりもいられない、深刻な異常気象だ。一方、未曽有のテロ事件を引き起こしたオウム真理教の教祖だった松本智津夫元死刑囚ら13人の死刑囚全員の刑が、突如執行された。そんな7月の言葉から-。
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デスクA 西日本豪雨では、自然災害の「常識」を覆された。命に危険が及ぶかもしれない雨。土砂災害の規模も想像を超えていた。
記者A 甚大な被害が出た岡山県倉敷市真備町で取材中、災害ごみが流れ込んだ田んぼで、黙々とごみを拾う女性に出会いました。父の代から90年以上守り続けた田んぼを「もう1度使えるようにしたい」と。一方で「正直、もうだめだろうと分かっているが、できることをしたい」とも。
記者B 被害は広範囲ですが、実はピンポイント。被災地の近隣には被害がない地域もあり、コンビニにも通常通りの物資があった。一方、被害がなくても被災地に近いために風評被害を受けている観光地もある。
記者A 人間の知恵で対応しても、自然の猛威に追いつかない印象でした。
デスクB 災害の初期段階で行われたのが「赤坂自民亭」。安倍政権、自民党の危機管理力が問われた。
記者C 官邸の一員、西村康稔官房副長官がSNSで写真を発信。出席者が、安倍晋三首相の地元山口の「獺祭」と、岸田文雄政調会長の地元広島の「賀茂鶴」の2つの日本酒を前に並んだなど、災害より自民党総裁選を意識した書き込みも。今となってはKYです。
記者D 写真が拡散しなければばれなかった。自業自得の「自爆」行為です。
デスクA 赤坂自民亭の翌日に、松本智津夫元死刑囚らオウムの7人の刑が執行。まさかこの時期とは。
記者B 赤坂自民亭でおかみ役だった上川陽子法相は「慎重な検討を重ねた上で命令した」と説明。在任中の執行は16人。ある意味、腹が据わっている。
記者E 若い世代にはピンとこない事件かもしれないが、あらためて教団の凶行に震えを感じた。
記者C 私は当時、サティアンと呼ばれた教団施設があった山梨県の上九一色村(当時)を取材しました。旧式のかさばる携帯電話を会社に借りて向かいましたが電波が通じない所もあり、1つしかない公衆電話に多くの社が並びました。
デスクB 文科省キャリア官僚の相次ぐ汚職逮捕にもあきれた。私大支援事業の選定を見返りに、東京医科大への息子の入学に関与したとされるケースも。裏口入学は、もう小説だけの世界かと思っていた。
記者E 暑さもひどかった。1933年に山形市で記録された40・8度が「暑さ日本一」と認識し続けた世代だが、70年以上破られなかった記録が簡単に抜かれ、41・1度に。暑さ=災害という時代が来るとは。
記者D 20年東京大会の暑さ対策も緊急課題。インタビューした大会組織委員会の森喜朗会長は、「猛暑は(対策検討の)チャンス」との認識を示しました。
デスクB ただ世界中のメディアが、東京での夏開催を不安視し始めた。そもそも招致が決まったIOC総会のプレゼンで、安倍首相は「温暖で理想的な気候」と説明した。自然の変化は仕方ないものの、今となっては見通しの甘さに批判も出ている。組織委も政府も、国際社会の不安をぬぐう説得力ある発信が必要だ。
記者E 異常気象は日本だけでない。世界気象機関(WMO)は「世界全体が熱波の気象パターンを示している可能性がある」と。北極圏でも33・5度。世界中の気候が未体験ゾーンに入ったようで、怖いね。
【社会】
▼高円宮家の三女絢子さま(27)
「母の思惑がどうであったかは分かりませんが、両母親のつないだすてきなご縁だったのかなと思います」
2日 母久子さまに紹介された守谷慧さんと婚約会見。結婚式は10月予定。
▼久保木愛弓容疑者(31)
「勤務のときに亡くなると、家族に説明するのが面倒で苦手だった」
7日 横浜・旧大口病院の入院患者連続中毒死事件で逮捕。20人に消毒液を混入したと驚きの供述。
▼お茶の水女子大の室伏きみ子学長
「出願資格を、『女子』から『戸籍または性自認が女子』に改める」
10日 20年入試から、トランスジェンダーの学生を受け入れることを発表。
▼広島・安芸南高野球部の田代統惟主将
「どうにもならない無力感も感じました。今なお困難な状況にある仲間もいると思います。しかし私たちにとって選手権大会は1回きりのかけがえのないものです。すべての人々への感謝を胸に、がむしゃらにプレーすることを誓います」
17日 西日本豪雨で予定より10日遅れて開幕した広島大会で、選手宣誓。
▼セブン-イレブン・ジャパン
「想定以上の需要が予想され、十分な販売態勢が取れないと判断した」
17日 一部店舗で予定した100円生ビールのテスト販売を中止に。楽しみにしていた消費者はガッカリ。
▼豊島将之新棋聖(28)
「強い方がたくさん出てきて、力も拮抗(きっこう)している」
17日 羽生善治棋聖を下し、タイトル獲得。将棋界は八大タイトルを8人で分ける、超・戦国時代に突入。
▼三重県伊賀市
「忍者は募集しておりません」
24日 米ラジオ局が伊賀市と忍者について放送すると、「年俸950万円で忍者を募集中」のフェイクニュースが拡散。14カ国から115件の問い合わせが殺到し、市は大困惑。
【政治】
▼小泉純一郎元首相(76)
「小沢さんとは、味方になったり敵になったりしてきたが、政界は敵と味方はしょっちゅう入れ替わる。わだかまりはない」
15日 かつて敵対した小沢一郎氏が塾長を務める政治塾で講演。恩讐(おんしゅう)を超えたベテラン2人が、原発ゼロで結託。安倍1強に影響?
▼麻生太郎財務相(77)
「酒飲んでいる話ばっかりでテレビはつくっている」
17日 「赤坂自民亭」報道が収まらずに、ご立腹。
▼自民党の船田元・衆院議員(64)
「国民の理解が得られず、納得できない」
17日 自民党ごり押しの「参院定数6増法案」の本会議採決棄権を表明。かつて自民党のプリンスと呼ばれた。プライドがにじんだ。
▼自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(37)
「僕も失敗はいろいろあるし、うまくいかないこともある。でも、全部自分がやっていること」
20日 通常国会閉会を受けて、番記者の取材に。
▼野田聖子総務相(57)
「そういう話があるような、そんなような感じみたいな」
20日 自らに関する情報公開請求内容を知り、第三者の記者に漏らす。情報公開制度を所轄する組織のトップなのに。意欲をみせる自民党総裁選出馬にも影響か。
▼自民党の岸田文雄政調会長(60)
「安倍首相を中心に政治課題に取り組むことが、日本に重要と判断した」
24日 自民党総裁選への不出馬と、首相の3選支持を表明。事実上の敵前逃亡。
▼自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(51)
「彼ら、彼女らは子どもを作らない。つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」
18日 「新潮45」に「LGBT支援の度が過ぎる」と寄稿し、批判が拡大。しかし二階俊博幹事長は「いろんな人生観がある」と容認、これも物議を醸す。
【国際】
▼ケビン・ジョンソン・スターバックスCEO
「我々の目標は持続可能な方法でコーヒーを提供すること。その重要な1歩」
9日 プラスチックごみの海洋汚染が深刻化する中、プラスチック製ストローの20年までの全廃を発表。
▼タイの洞窟から救出された少年12人
「海軍特殊部隊の潜水士になって、人を助けたい」
18日 10日に無事救出され、退院会見。救出中に命を落とした元海軍特殊部隊の潜水士に思いをはせる。
▼英ケンジントン宮殿
「みなさんの温かいメッセージに感謝します」
21日 ウィリアム王子夫妻の長男ジョージ王子が5歳になり、王室が写真を公開。すっかりお兄さん顔に。
▼イバンカ・トランプ米大統領補佐官(36)
「しばらくはワシントンでの仕事に専念する」
24日 自身の名を冠したブランドの廃業を表明。不買運動での売り上げ不振も影響。