組織票騒動に揺れた「ゆるキャラグランプリ2018」の結果が18日、大阪府東大阪市の花園中央公園特設会場で発表され、埼玉県志木市の文化スポーツ振興公社のカッパをモチーフにしたキャラクター「カパル」が得票数88万9346票で優勝した。

同公社の職員はわずか5人で、アルバイトを含めても人員が30人足らずという小団体が頂点をつかんだ。カパルの相棒を務める同職員の権田原花子さんは「組織票の『そ』の字も出せないような、小さな団体です。たくさんの応援してくれている方の力があってこそ」と涙ながらに感謝した。

今月1日時点では暫定4位だったカパル。トップ3は約119万票の三重県四日市市「こにゅうどうくん」を筆頭に、2位の福岡県大牟田市「ジャー坊」、3位の大阪府泉佐野市「一生犬鳴!イヌナキン!」が100万票以上のネット得票で三つどもえかに思われていた。

しかし、17、18日の会場での決選投票(3倍換算)を含めた1位カパルの総得票数は約89万票。ジャー坊に次いで3位だったこにゅうどうくんの総得票数は約80万票という結果が発表された。約38万の減票だった。

表彰式後、取材に応じた同グランプリ実行委員の西秀一郎会長(55)は「1人1日1回」という投票の原則に当てはまらない、投票先に「人」の存在が確認されなかった「捨てアカウント」による投票を無効票として削除したと説明した。参加自治体などには「経済効果だけを追いかけて欲しくない。ゆるキャラに頼り過ぎ」と言及し、大会は地域活性化の手段であって「目的にして欲しくない」と思いを語った。来年度の正式開催は未定だが、投票ルールの変更に言及は無く、20年までの開催を予定していると述べた。

市職員が約2万の投票IDを取得し、配布していたとして「組織票騒動」の渦中にいたこにゅうどうくん。この日は、森智広四日市市長(40)が自ら駆けつけ、縁のある俳優京本政樹(59)がサプライズで激励に訪れるなど、万全の体制かに思われた。だが、昨年4位からひとつ順位を上げた3位に終わった。森市長は「(実行委が)精査した結果、80万票を認めていただいた。素晴らしい結果」と納得の表情。約3000人の市職員を含む「市民の思いが詰まった80万票。誇りを持って帰りたい」と胸を張った。大会前からの宣言通り、今年で参加は最後と明言し「記録よりも記憶かな」と、すがすがしい表情で会場を後にした。

今年は「ご当地部門」507体、「企業・その他部門」402体の全909体がエントリー。8月1日~11月9日までのネット投票と11月17、18日の会場での決選投票の結果で最終順位が決定された。

同グランプリは東日本大震災の復興支援を目的として、11年からスタート。今年で8回目を迎え、毎秋に開催されている。過去のグランプリでは熊本県の「くまモン」(第1回)や愛媛県今治市の「バリィさん」(第2回)などの人気ゆるキャラが優勝を果たしている。