東京都の小池百合子知事は12日の定例会見で、過剰な返礼品規制の観点から6月から始まる「ふるさと納税」の新制度に、都が参加申請を見送ったことについて、「返礼品をめぐる議論に終始していることに、違和感を感じている」と説明し、現状への疑問を示した。

総務省は11日、新制度に東京都を除く46道府県と1741市区町村が参加を申請したと発表。参加できる自治体は、今後指定する方針。都は6月1日以降、制度から外れ、寄付に対する税の優遇を受けられなくなる。

小池氏は「本来は、寄付を通じてふるさとを応援する制度。寄付文化を定着させることの足がかりになったのは事実」と制度について一定の評価をしながらも、「寄付という本来の趣旨を促すべきが、返礼品競争になっている。どんどん違う方向にいっていると都は考えた」と指摘。「本来、自治体に入る税収が、他の自治体に移っているのは、受益と負担という地方税の原則からして、ふさわしいものではない」と述べた。

その上で、「本来の趣旨を促す制度になっているものなのか、根本的な課題がある。1度整理をされた方がいいのではないか」とも述べ、制度の趣旨の再考が必要との認識を示した。

国は新制度の中で、「返礼品の調達費が寄付額の3割以下」とし、地場産品に限定するなど、従来より厳格化する方針。現行のふるさと納税をめぐっては、大阪府泉佐野市が「アマゾン」のギフト券を返礼品にして多額の寄付を集め、これを批判する国との間で、対立が続いてきた。泉佐野市は新制度への参加を申請しているが、対象外になる公算が大との見方が出ている。