東京都の小池百合子知事は、IOCが東京五輪マラソン・競歩の開催都市を東京から札幌に変更する検討に入ったとする発表を受けて16日夜、「突然の変更には、驚きを感じるところです」などとするコメントを発表し、不快感を示した。

小池氏は「計画が唐突な形で発表された」と、都側との十分な事前調整がないままの発表だったことを示唆。都関係者によると、都側に今回の情報が伝えられたのは前日の15日だったという。小池氏は「このような進め方については、多くの課題を残すものであります」とも記し、IOCの対応に疑問を示した。

沿道部分の暑さ対策を担当する都や関係自治体は、これまで「アスリート・ファースト」の観点から、さまざまな検討を進めてきた。小池氏は「ハイテクとアナログ」の両立が重要だと強調。「ハイテク」では、マラソンコースで、温度上昇を抑えるための遮熱性塗装を路面に施し、実験や試走を重ねてきた。「アナログ」では、頭にかぶる日傘「かぶる傘」の導入計画を小池氏が発表したほか、観客用にテントやミストの設備が整った休憩所の設置、ネッククーラーやかち割り氷の配布なども予定、準備が進んでいた矢先だった。

大会まで1年を切ったこの時期の開催地変更となれば、関係各所での混乱が予想される。小池氏は今回の発表に関し、十分な説明を求める意向を表明。今月末に開催される調整委員会の場で、地元自治体と協力して対応する意向も示したが、都の困惑は広がるばかりだ。「花形競技であるマラソンを東京でやらないのは、あり得ない」と批判する幹部もいた。