謝罪だけで済むのか-。大学入学共通テストの英語で導入予定の民間検定試験をめぐる「身の丈発言」で、批判を浴びている萩生田光一文科相は29日、謝罪した上で発言撤回に追い込まれた。台風被害が拡大する中、「私は雨男」と発言した河野太郎防衛相も、謝罪した。野党は特に萩生田氏の発言を問題視、辞任を求めて追及する。菅原一秀前経産相の「香典辞任」に続く辞任ドミノに発展する可能性も出ており、「お友達内閣」のツケが早くも安倍晋三首相に回ってきた。

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萩生田氏は会見で「不徳の致すところだ」と述べ、「身の丈」発言を謝罪、撤回した。24日のBSフジ番組で、英語検定試験に関して「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と発言。受験料が2万円を超えたり、会場が都市部に限られる試験が多く、経済格差や地域格差が指摘される中、解決を放棄するような発言と受け止められた。

前日28日の謝罪時には発言を撤回せず、批判の拡大を受けて追い込まれた。「受験生を見下し、切り捨てたりすることを念頭に発言したのではない」と釈明。試験は予定通り実施する意向を強調した。

一方、自身の政治資金パーティーで「私はよく雨男と言われた。防衛相になってすでに台風は3つ」と述べた河野氏も、「不快な思いをされた方におわび申し上げたい」と謝罪。自衛隊員の災害派遣に触れた際の発言だが、被害で苦しむ被災者を顧みない言葉だ。

先週、選挙区内の有権者に秘書が香典を手渡し、公職選挙法抵触の疑いがある菅原氏が辞めたばかりの安倍政権では、閣僚の資質が問われる事態が続く。特に萩生田氏について、野党は「撤回では済まない」と、問題視。30日の衆院文部科学委員会から追及を始め、辞任に追い込む構えだ。

萩生田氏は首相の側近で、菅原氏は菅義偉官房長官に近い。2人とも今回が初入閣で「お友達内閣」を象徴する顔ぶれだが、菅原氏は職を追われた。萩生田氏の発言には、自民党内からも突き放す声が出ている。

お友達起用が裏目に出た首相は、危機感を強める。公明党の山口那津男代表との会談で「閣僚の発言でいろいろご心配をお掛けして申し訳ない」と陳謝。菅原氏の更迭に続き、萩生田&河野両氏は早期謝罪で幕引きを目指すが、国会質問の事前流出で「問題があれば責任を取る」と発言した北村誠吾地方創生担当相など、予備軍はいる。菅原氏に続き、別の重要閣僚も近く、「政治とカネ」問題が報じられるとの情報がある。

「お友達」起用に伴う辞任ドミノは第1次安倍政権で起き、その後の退陣に発展した。「悪夢」が再び起きない保証は、どこにもない。【中山知子】