政府が2月27日に小、中、高校などの学校を春休みまで臨時休校にするよう要請したことにより、子育て家庭の収入が減っているとして、給付金支給を求めるプロジェクトが12日、都内の厚労省で会見を開いた。

プロジェクト側は、一斉休校の措置で子供を見るために仕事を休まざるを得ない親の収入が脅かされている上、昼食代や家庭学習のドリル購入など費用がかかっていると説明。もともと3、4月は進級、進学に伴い、制服や副教材などの購入費用がかかるため、新年度を迎えることへ不安を抱える世帯が多いとし、所得が約900万円以下の0歳から中学校修了までの子育て世代に、月額1万円から1万5000円支給されている児童手当に、臨時給付金として3万円を上乗せして給付するよう求めた。

会見に出席したNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長は「休業補償なども出ているが、お仕事が減って給料も減る。子育て世代に1番、お金がかかる時期で、どうやって乗り越えようかという時に、特に非正規雇用の方は直接、お金が減る。新学期を迎えられるのかという不安がある」と説明。その上で「児童手当はカバーの範囲が広く1番、分かりやすい。今、ある制度を使うことで(支給が)スピーディーに出来る。時間がかかると子どもたちのためにならない。自治体もやりやすいし、事務コストもかからない」と児童手当に臨時給付金を乗せて支給するメリットを強調した。

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長は、厚労省が9日に発表した、臨時休校などに伴い会社を休んだ保護者の賃金を補償する制度について「急いで出してくださったのはいいが、申請方式も公表されていない」と首をかしげた。その上で「(休業補償が)もらえるんだということを、企業主に言われている方が少ない。もらえない方が出るのではないかと推測する」と、企業に助成金を出す形で果たして直接、家庭にお金が届くのかと首をかしげた。そして「困っているところには直接届く方策をやられた方が良い。政府はこれまで、企業に(助成金を)出すような施策をやってこられたと思うが直接、届く施策の方が効果が高いということを体感して欲しい」と訴えた。

内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議構成員で、プロジェクトのアドバイザーを務める、日本大学文理学部末冨芳教授は「一斉休校は普段、起きえない緊急事態。子供の衣食住を祖父母に面倒を見てもらうためにも移動費がかかっている。全くもって予想されない一斉休校で、どう食べていこうかということ」と声を大にした。そして「子どの貧困世帯は非常に多用で、厳しい家庭の相が確実に分厚くなっている。緊急事態で予想できない状況の中で、せめて衣食住を守る。あらゆる世代で行われないといけない」と訴えた。

しんぐるまざあず・ふぉーらむが、インターネット上のアンケートフォームで、ひとりで子供を育てているひとり親232人に行ったアンケートによると、収入が減ると答えた人が43%、なくなると答えた人は5%に上った。プロジェクトは、インターネット署名サイト「Change.org」で1週間をメドに署名を集め、要望書と併せて安倍晋三首相に提出する予定だ。【村上幸将】