公職選挙法違反(買収)で有罪判決が確定した河井案里前参院議員(自民離党)の当選無効に伴う参院広島選挙区再選挙は25日投開票され、自民党公認の元経済産業省課長補佐の西田英範氏(39=公明推薦)は野党の統一候補、フリーアナウンサーの宮口治子氏(45=立憲民主、国民民主、社民推薦)との事実上の与野党対決に敗れた。

「政治とカネ」を巡る問題に有権者が審判を下した。広島市内のホテルに集まった支援者を前に西田氏は「私の力不足でみなさまの期待に応えることができなかった。議席をとれなかった」と深々と頭を下げた。 広島は保守地盤で「自民党王国」と称され、自民党が必勝を期す重点区。しかし、19年参院選をめぐる元法相、河井克行夫妻の大規模買収事件の傷痕は深く、選挙戦が進むにつれ、当初の楽勝ムードは霧散した。 8日の告示日、西田氏は「政治とカネ」には直接触れなかったが、横一線の情勢が伝えられると、戦略を急変させた。大規模買収事件について「私自身も許せない。怒りを覚える。失われた信頼を取り戻すため、自民党にチャンスを」と訴えた。 自民党の広島県議の1人は言う。「とてつもない逆風が吹いていた。いつもなら支援者にお願いすると、2つ返事だったが、今回は『勘弁してくれ』と。まず説得から始めなければいけなかった」。岩盤支持層に渦巻く自民党への不信感は想像以上だった。 19年参院選では官房長官だった菅義偉首相が案里氏の応援に駆けつけたが、今回は応援に入らなかった。前回選挙で党本部に案里氏擁立を強行され、県連支援の現職が落選した「仁義なき戦い」の遺恨が残った。今回、県連は菅首相の広島入りを「マイナスになる」と拒否。自民党の岸田文雄前政調会長(衆院広島1区)が陣頭指揮をとった。 次期総裁選をにらむ岸田氏は負けられない戦いだった。地元での手痛い黒星に岸田氏は「広島県連会長として結果を残せず、おわび申し上げる」と謝罪した。【松浦隆司】