将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける、第35期竜王戦7番勝負第5局が25、26の両日、福岡県福津市の宮地嶽(みやじだけ)神社で行われ、先手の広瀬が133手で勝ち、シリーズ対戦成績を2勝3敗とした。藤井はタイトル戦の7番勝負で、初めて2敗を喫した。

「ひふみん」こと加藤一二三・九段(82)の「ひふみんアイ」をお届けします。

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藤井竜王はタイトル戦7番勝負で2敗するのが初めてなんですか。大記録ですよ。私も将棋界で数少ない1000敗棋士(通算1324勝1180敗)ですが、勝っているからこそ負けにも注目されるんです。

それにしても、広瀬八段の桂を打ち込んだ手に対し、5筋の飛車を引いたのは「らしからぬ消極的な手」でした。3筋の角の頭に回ったり、銀で王手をして反撃してもよかったですから。今シリーズ、致命的なミスはありません。スコア上、有利なことにも変わりはありません。

最後は広瀬八段がうまく収束させました。藤井竜王は開幕前、「広瀬八段の終盤力と、そこに向かうまでの組み立てが素晴らしい」と話していたそうですね。今局はそれが十二分に発揮されました。手応えをつかんだと思いますし、第6局もいい勝負を期待しましょう。