世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る被害者救済法案は会期末の10日、参院本会議で可決し、成立する見通しとなった。

9日、元2世信者の小川さゆり(仮名)さんと、全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士が、参院消費者問題特別委員会に参考人招致され、初めて国会で意見陳述と質疑に応じた。

小川さんの両親は20代で旧統一教会の合同結婚式に出席し、現在も信者という。小川さんは幼少期から両親の献金に献金によって生活は困窮、小学校時代から、いじめを受け、アルバイト代の約200万円も無断で献金され、教団関係者からセクハラを受けた経験などを赤裸々に語った。

小川さんは「法案の最大の積み残し課題は、子供の被害が現実的には、まったく救済できないということ。2世は声を上げることができない」と指摘した。「残った課題についても、統一教会の解散についても議論を続け、早急に御対応をいただきたい」などと訴えた。阿部氏も「救済という意味では新法の内容は、あまりに不十分。特に未成年者である2世が権利行使をするのが極めて困難な制度」など見直しを求めた。

同委員会で河野太郎消費者担当相は旧統一教会について「私の個人的な認識はカルトに該当するというものだった」と、教団が反社会的な宗教団体「カルト」に当たるとの見解を示すなど踏み込んだ。被害者救済法案は8日に衆院本会議で可決された。岸田文雄首相は10日の同特別委員会に出席して質疑に応じ、参院本会議で可決すれば、5日の審議入りから6日間でスピード成立する。【大上悟】