岸田文雄首相は29日夕、官邸で取材に応じた際、長男の岸田翔太郎首相秘書官(32=政務担当)を6月1日付で交代させると発表した。事実上の更迭。

翔太郎氏をめぐっては、5月25日発売の「週刊文春」が、「岸田一族『首相公邸』大ハシャギ写真」のタイトルで、昨年末に翔太郎氏や親族が首相公邸で「忘年会」を行った際の様子を写真付きで報じていた。

首相は「公邸の公的なスペースにおける昨年の行動が、公的立場にある政務秘書官として不適切。けじめをつけるため交代させることといたしました」と述べ、更迭する判断をしたことを明かした。その上で、自身の責任について「当然、任命責任は私自身にあり、重く受け止めている」と述べた。

政務担当の首相秘書官は、経産事務次官を務めた主席首相秘書官の嶋田隆氏と翔太郎氏が2人で務めていた。後任には、翔太郎氏が就任するまで務めていた岸田氏の秘書、山本高義氏が就任する。

文春が報じた翔太郎氏らの行動については、その「公私混同」ぶりに、与野党から批判や苦言の声が出ていた。

永田町では、文春が「第2弾」を報じるのではないかとの臆測も流れており、首相の判断に注目が集まっていた。首相は将来の自身の後継者と見据えている翔太郎氏に、秘書官就任で経験を積ませる目的があったとされるが、報道内容を受けさすがにかばうことができなかったようだ。