政治ジャーナリストの田崎史郎氏は21日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、石川県の馳浩知事が東京五輪の招致活動をめぐり「官房機密費(内閣官房報償費)」を使ったと発言した後に「事実誤認」を理由に撤回したことについて「多分、本当ではないかと思わせますよね」と指摘した。こうした発言を公の場で行ったことを念頭に「馳さんは、前からそう思っていたが、賢くない人だと思う」とも酷評した。

馳氏は17日に東京都内の講演で、五輪招致をめぐり「メモを取らないで」と断った上で、当時の安倍晋三首相から「金はいくらでもある。官房機密費もあるから」と告げられたと発言。国際オリンピック委員会(IOC)の委員105人への贈答品として1冊20万円でアルバムを製作したと明かし、IOCの倫理規定違反の疑いも浮上している。

官房機密費は領収書が必要なく、年間に12億円使えるともいわれる。田崎氏は、第2次安倍政権の2013年に五輪招致が決まった当時を振り返り「東京五輪招致を勝ち取ることに総力をあげた時。こういうことがあっても不思議ではないが、今になってそれを(自分から)言うかなと」と、馳氏の発言に首をひねった。

一方、元テレビ朝日社員の玉川徹氏は「むしろ、よく事実をしゃべってくれたと思う」と話した。「五輪の招致に関して、選定に非常に力を持っている人にお金を渡していた疑惑もあった。フランスの方で捜査が進んでいた」と指摘した上で、当時、東京はほかの候補都市に比べ、国民の招致への支持が低かったことを回想しながら「お金をばらまいて無理やり呼んできたのかと思っていたが、今回それを裏付けるような話が出ていたなと感じる」と、私見を口にした。

また、1964年の前回の東京五輪と比べ「64年の五輪は『東洋の魔女』とか、語り草のように伝えられるようなものになったのが、いちばんのレガシーだと思うが、この前の東京五輪で(自分の記憶に)残ったのは『ぼったくり男爵』とか、そういうものばかりが頭の中に残った。せっかく選手は頑張ってメダルを取り、記録をつくってくれたりしたが、もともと何のために呼んできたのか。時代が求めるような64年のオリンピックと、そうじゃない時代になってからのオリンピックは違うということを、すごく感じた。それは万博でもいえるかなと思っている」と、持論を述べた。