静岡県東部の沼津市で発行されている沼津朝日新聞が6日、紙面を通じ今年の12月29日付をもって廃刊すると発表した。
1952年(昭27)1月創刊で、74年の歴史に幕を下ろす。「始まりがあれば終わりがあるものです」の一文から始まる「廃刊のごあいさつ」が1面に掲載された。執筆したのは3代目社長の久保田公乃(きみの)氏。文中で「『なぜ廃刊に?』の疑問には一言で答えられません」と複雑な胸中をつづっていた。
久保田氏は日刊スポーツの取材に対し「現状はさておき、ずっと続いてきた新聞づくりの精神性を受け継いでいけるだけの、ちゃんとしたものが経済的にありませんでした」と明かした。廃刊の決断は「時間がかかりました。簡単に決められる話ではない。多くの方と関わって続けてこられたわけですから。いろんな思いはよぎりました」とし、「閉じるのも私の責任かなと思って決断しました」と語った。
収入源は読者の購読料とスポンサーの広告費の2本立て。「新聞だけやっているということは、この時代の変わりようはしんどいですね」と語り、副業展開はなかったという。新聞購読者の減少についても「私が実感するのは新聞回収の日です。昔は山ほどあった新聞が今はないじゃないですか」と話した。
沼津市に発行されていた地域紙は最盛期で4社あったが、現在は沼津朝日新聞1社だけだった。「今でも思うことは、やっぱり『必要だ』と思っています。決していらなくなったから、やめるのではないってことだけは間違いないです」と言葉に力を込めた。
沼津朝日は株式会社沼津朝日が発行している地域紙。会社設立は1954年(昭29)10月30日。全国紙の朝日新聞と関連はない。
公式サイトには「沼津朝日新聞は昭和27年の創業以来、市民の視点に立った紙面づくりに力を注いできました。分かりやすく言えば『市民のための市民の新聞』です。70年前も、そして今も“なぜ、新聞をつくるのか”が命題です。こんな贅沢な新聞があってもいいと考えています」とうたっている。

