天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、29日=東京)の最終追い切りが25日、東西トレセンで行われた。調教を深掘りする「追い切りの番人」では、大阪の下村琴葉(ことは)記者が昨年ダービー馬ドウデュース(牡4、友道)を徹底分析。加速力、肉体面に進化を実感。8カ月ぶりの実戦でも力を発揮できるとみた。G1・4連勝中のイクイノックス(牡4、木村)を止めるのは、この馬しかいない!? 天皇賞・秋の枠順はきょう26日に確定する。

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記者室が静まり返った。皆の視線の先は、坂路モニターに映るドウデュースだ。助手が騎乗して、4ハロン52秒8-12秒0と高速の脚さばきで登坂。馬なりでもラストはしっかりと伸びた。迫力あふれる動きに、友道師は「元気いっぱいで戦闘モードに入ってきた」。実質的な最終追い切りを坂路で行うのは今回が初めて。「しっかり負荷をかけるためにやった」と師は説明した。

武豊騎手が乗った19日の1週前追い切りも、抜群だった。Cウッドの3頭併せで6ハロン81秒1-11秒2をマーク。直線で軽く合図をしただけで末脚がはじけた。オープン馬2頭(フライライクバード、ユーキャンスマイル)をあっさりと置き去りに。「追ってからの反応がすごかった。この1週間で何度も(映像を)見直した」。JRA・G1・17勝の“名将”もうなる動き。そこには、春から進化した部分があった。

<1>加速力 いつも追い切りで右前脚を先に出す「右手前」から走りだすが、19日は逆の「左手前」からスタート。コーナーで右手前、直線に向くと左手前に替えて楽に伸びた。それまで武豊騎手は「栗東だと直線に向いても右手前のまま走りきっちゃう」と話していたが、しっかりと“手前交換”に成功。競走馬は、手前を替えた方が勢いに乗れる。ドウデュースもギアチェンジがスムーズになって、加速力が確実にアップした。鞍上も「すごくいい感じだった」と目を細めた。

<2>馬体 4歳の夏を越してさらにパワーアップした。放牧中のドウデュースに会いに行った武豊騎手は「トレーニングを始める前だから筋肉落ちてるかなと思ったけど、全然落ちてなかった。馬房で筋トレでもしてんのかな」。成長ぶりを目の当たりにして、ジョークも飛び出すほどだった。

8カ月の休み明けでも、心技体が整って力を出せる仕上がりとみる。G1常連の陣営の口から次々にこぼれる「楽しみ」という言葉も仕上がりの良さ、馬の能力を信頼している証拠だ。昨年ダービーで2着に退けたイクイノックスとの再戦についても「違う内容を歩んできた。何とか取り返したい」と友道師は意気込む。万全を期していざ府中へ。歴史を塗り替える準備はできている。【下村琴葉】

<武豊と一問一答>

-3歳時からの変化は

武豊騎手 2歳の頃から完成度の高い馬。急に変わったとかよりも、少しずつ強くなっている。

-1週前追い切りは

武豊騎手 いい追い切りができた。走りもよかった。ドウデュースらしい追い切りができた。もともとすごく乗り味がよくて余裕のある走りをする馬。反応も速いし、総合力が高い。

-成長力を感じたところ

武豊騎手 精神面はずっと2歳の時から落ち着いている。馬体は筋肉がすごいなと見てて思う。栗東に帰ってきて最初に見た時は驚くくらい。ようやくこの馬でレースに出られるし、それが天皇賞ですから、非常に楽しみ。

-メンバー構成を見て

武豊騎手 すごいメンバーだなと。イクイノックスは世界NO・1。ダービー以来、一緒に走れるのは楽しみ。イクイノックスだけじゃなくて他の馬も強いから、ドウデュースの力を出すことに集中したい。