春より強く、かわいくなった。2冠馬ロブチェン(牡、杉山晴)が鼻差Vで史上9頭目の3冠制覇へ王手をかけた。
不得手の瞬発力勝負を克服して王者の貫禄を示した。精神面の充実が表情に表れ、競馬ファンの人気も急上昇中。次戦の菊花賞(G1、芝3000メートル、10月25日=京都)で偉業に挑む。松山弘平騎手(36)は4週連続重賞勝利で秋G1開幕へ弾みをつけた。
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負けない。低い重心から首を前へと伸ばし、2冠馬ロブチェンが鼻先を突き出す。内からの猛追をしのぎ、秋初戦に白星を添えた。単勝1・4倍の支持に応え、松山騎手はこわばっていた頬を緩めた。
「差はわずかになってしまいましたけど、なんとか勝ち切ってくれてよかったです。本当に長く脚を使ってくれて強い競馬でした。返し馬から緩さも気になっていたので」
窮地だったからこそ、王者の強さが際立った。あくまで前哨戦の仕上げ。パドックでは杉山晴師から「菊花賞を見据えて乗ってほしい」とオーダーされていたという。最内枠から馬群に包まれ、不得手の瞬発力勝負に持ち込まれた。スタンドから見守ったトレーナーも「もともと切れ味のあるタイプではない。負けるなら、このパターンかと…」と覚悟した。イン有利の馬場で大外を回しての勝利。まさに着差以上だった。
ファンの人気も急上昇中だ。この日はシルバーウィークもあって前年比2倍超の3万6039人が来場。馬房での愛らしい姿が発信され、SNSでは「かわいい」の声が目立つようになった。房野助手は「春は苦しかったけど、今は顔が穏やかになっているのでは」と指摘する。迫力の肉体や走りだけでなく、精神面も充実している証しだ。
視線は早くも淀へ向けられる。自身初の4週連続重賞Vと腕が光る鞍上は「さらに上がってくれると思います。今のところ大きな不安はないです」と自信を深めた。史上9頭目の栄冠は目前にある。杉山晴師は「体形だけ見ると、はたして3000メートルはどうなのか」としつつも「世代のチャンピオンとして、なんとか3冠達成を」と誓った。その能力と愛嬌で、いよいよスーパースターになろうとしている。【太田尚樹】
◆ロブチェン ▽父 ワールドプレミア▽母 ソングライティング(ジャイアンツコーズウェイ)▽牡3▽馬主 フォレストレーシング▽調教師 杉山晴紀(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 6戦5勝▽総獲得賞金 6億9513万2000円▽主な勝ち鞍 25年ホープフルS、26年皐月賞、ダービー(以上G1)▽馬名の由来 モンテネグロの山名

