お洒落な雰囲気の店内では大麻ソムリエがセレクトする大麻を楽しめます(写真はローウェル・カフェの公式インスタグラムより)
お洒落な雰囲気の店内では大麻ソムリエがセレクトする大麻を楽しめます(写真はローウェル・カフェの公式インスタグラムより)

カリフォルニアでは昨年1月に嗜好品としての大麻が解禁され、アルコールと同様に21歳以上であれば誰でも合法的に大麻を購入できるようになったことで、ここロサンゼルス(LA)でも大麻関連のビジネスが続々とスタートしています。日本では考えられないことですが、昨年10月にはカナダが国として世界で2番目に娯楽目的の大麻の所持・使用が合法になるなど北米では大麻が大きなトレンドとなる中、このほどLAに全米初のマリファナカフェがオープンしました。

全米初の大麻カフェではサラダやサンドイッチなど普通の軽食も食べられます。(写真はローウェル・カフェの公式インスタグラムより)
全米初の大麻カフェではサラダやサンドイッチなど普通の軽食も食べられます。(写真はローウェル・カフェの公式インスタグラムより)

ウエスト・ハリウッドに1日にオープンした「ローウェル・ファームズ:カナビス・カフェ」は、店名の通り産地直送の新鮮な食材を使った料理とカナビス(マリファナの別名)が楽しめるカフェです。全米初とあって連日メディアでも取り上げられ、オープン初日から店の外には行列ができるほどの人気で大きな話題になっています。ここではレストランでワインを注文するのと同じようにテーブルで好みの大麻をオーダーすることができ、紙巻きやパイプ、水キセル、ベイプ(電子タバコで吸引する大麻リキッド)を使って自由に吸引できるのが特徴です。ローウェル・ファームズのオリジナルブレンドをはじめ、様々な種類の大麻や大麻成分入りキャンディーやドリンクなど大麻製品が販売されており、店内には「テーブルサイド・フラワーサービス」と呼ばれる大麻ソムリエがいて、種類や作用を説明してくれ、その日の気分や好みにあった大麻を探す手伝いをしてくれます。

オープン初日、店の前には入店を待つ大勢の人で行列ができていました
オープン初日、店の前には入店を待つ大勢の人で行列ができていました

LAでは娯楽用の大麻は合法ですが、当然ながら法的な規制もあります。大前提として、大麻を購入・使用できるのは21歳以上で、大麻を使用しての運転は禁じられています。さらに1度に購入・所持できる量にも制限がある他、公園や道路など公共の場はもちろんレストランやバーでも吸引は認められていません。すなわち、これまでは自宅などプライベートな場所で楽しむことはできても公の場で吸引することができなかった大麻が、ウエスト・ハリウッド市で大麻消費施設の営業免許制度が新たにできたことを受けて全米で初めて店内での吸引が認められたのです。カフェに入店できるは大麻を購入するしないに関わらず21歳以上で、入口で身分証明書の提示が義務付けられています。屋外は全面禁煙となっているため、大麻を楽しむのは店内のみで、店外に持ち出して吸うことはできません。また、法律上の規制があることから、料理には大麻は使われておらず、アルコールの販売もしていません。

店名が書かれた看板はありませんが、植物でカフェのロゴとなっているヤギが描かれた塀が目印
店名が書かれた看板はありませんが、植物でカフェのロゴとなっているヤギが描かれた塀が目印

地元メディアなどによると、カフェのコンセプトはワインと料理のマリアージュを楽しむのと同様に大麻と料理のペアリングを楽しむことだそうで、料理長には大麻の成分THC(多幸感を覚えるなどの作用があるテトラヒドロカナビノール)とCBD(精神や神経系への影響のないカンナビジオール)を取り入れた料理で有名なアンドレア・ドラマー氏を迎え、THCの効果を取り入れた料理も提供していると言います。大麻と料理は別会計制度となっており、大麻だけ、料理だけを楽しむことも可能。普通のコーヒーやジュース、サンドイッチやサラダなどの軽食もあるので、大麻を使用しない人でもカフェ利用はできます。午前10時から深夜2時までオープンしていますが、注目度が高いことから当面は滞在時間は1人1時間半に制限されているようです。

カフェの頭上に掲げられた、「EAT, DRINK, &
SMOKE」と書かれた大きな看板が目を引きます
カフェの頭上に掲げられた、「EAT, DRINK, & SMOKE」と書かれた大きな看板が目を引きます

同店の広報はCNNテレビのインタビューで、「合法化された大麻の世界で、(大麻の消費について)楽しく学べる快適で安全な環境を提供しています」と語っており、地元の人のみならず、大麻が合法化されていない他州からの観光客にも気軽に合法大麻を試す機会になって欲しいと話しています。ウエスト・ハリウッド市ではこれまで300以上のマリファナ消費施設の出店申請があったと言いますが、現時点で営業が許可されているのは8店舗のみだと言います。今後はカフェだけでなく、スパなどもオープン予定だと伝えられており、LAではこれを機にこれからますます大麻ビジネスが盛んになっていきそうです。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)