旅のひとつの楽しみに「食」があります。現地に着いてからの、おいしい食事はもちろんですが、車中での食事も旅情を盛り上げてくれる重要アイテムのひとつです。つまりは駅弁。鉄道旅の良さのひとつに「酒が飲める」がありますが、ふだんはアルコールにご飯なんて全く合わないと思っていても、なぜか列車に乗るとピッタリ合ってしまうのが不思議。ということで一部ですが、過去に食した駅弁を2回に分けて並べてみます。なお、いずれも当時のものですので、現在についてはご確認ください。

■一時は絶滅危惧種に

百貨店などの駅弁イベントの盛況ぶりを見ると、一時は絶滅危惧種になりかけたことが信じられません。長距離長時間列車の減少、販売店や販売員の老齢化、コンビニの隆盛、急行がなくなり窓が開けられなくなったことなど、いろいろな要因で駅弁は全国的に大幅に減少しました。

実はその傾向は今もそう変わらず、新幹線など大きな駅以外での販売は少なくなっています。時刻表を見ると駅弁を販売している駅には駅弁マークがあるのですが、年々寂しくなっています。

事実、今回自分が食べた駅弁の写真を見返すと、ほとんどが新幹線のものでした。つまり駅弁は人気だけど、販売店は減っているということ。私的なことを言うと、初めて乗る路線では車窓が重要で寝てなんかいられないけど、乗り慣れている新幹線ならビール飲んでメシ食って寝よう、と思っているフシがあります。でも楽しみのひとつには違いありませんよ。


〈1〉すきやき弁当(新神戸駅・14年11月27日)

〈1〉すきやき弁当
〈1〉すきやき弁当

定番ですね。長年お世話になっています。ひもを引っ張って温めるというアイデアが「駅弁は冷たくておいしくない」という評価をはねかえすことになりました。アツアツのすきやきで幸せな気分になれます。ただ油断していると車両が揺れた時に卵が…。私はワイシャツの胸とネクタイが被害を受け、恥ずかしい出張になったことがあります。売り切れの時もありますが、改札外の売店になくてもホームにあることもあります。

 
 

〈2〉うにいくら黄金鮭弁当(東京駅・14年9月15日)

〈2〉うにいくら黄金鮭弁当
〈2〉うにいくら黄金鮭弁当

東京駅の在来線構内にある全国各地の駅弁を集めた「祭」はいつも大にぎわい。私もよくお世話になります。こちらは北海道の駅弁です。サケが中央に居座り、周囲をいくらと卵そぼろが固めていて豪華感が漂う。サケも柔らかくておいしかったです。

 
 

〈3〉深川めし(東京駅・18年12月6日)

〈3〉深川めし
〈3〉深川めし

この10年の中で一番食べた駅弁だと思います。写真は新幹線の改札内で購入したもの。深川めしそのものが、東京の名産ですが、あさりだしのきいた炊き込みご飯に穴子、そしてハゼの甘露煮と東京湾のおいしさが詰まっていて、甘辛さというか濃厚な感じがビールにも合います。東京駅では新幹線改札内のJR東海側とJR東日本エリアとなる在来線側で、別の深川めしが販売されています。食べ比べもいかがでしょう?

 
 

〈4〉比内地鶏こだわり鶏めし(東京駅・16年6月10日)

〈4〉秋田比内地鶏こだわり鶏めし
〈4〉秋田比内地鶏こだわり鶏めし

こちらも東京駅の「祭」で購入。比内地鶏ですから秋田の駅弁です。色彩が鮮やか。秋田県産比内地鶏100%使用で、炊き込みご飯のお米もあきたこまち。製造・販売の関根屋さんのHPによると、比内地鶏の照り焼きスライスにつくね、ごぼう煮、じゅんさい酢などバリエーションも豊かです。駅弁はいつもそうなのですが、こちらは特にあっという間に食べ終わってしまいました。

 
 

〈5〉おまけ・グランクラスの和軽食(東北新幹線車内で・14年8月30日)

〈5〉グランクラスの和軽食
〈5〉グランクラスの和軽食

大奮発して東北新幹線のグランクラス(グリーン車のさらに上のクラス)に乗車した時のもの。グランクラスでは軽食がサービス、ドリンクも飲み放題です。スタートした当初は軽食も和洋どちらも食べて良かったのですが、その後、選択制になりました。魅力は飲み放題です。この時はコーヒー→ビール→ワインといただきました。ただ私はこの時も含めて過去2回、グランクラスを利用したのですが、いずれも午前中。なかなか朝の8時ぐらいからアルコールを摂取しまくるわけにはいきません。次はぜひ夜の部を、と考えています。【高木茂久】

※数字は便宜上のもので順位付けではありません。過去に撮った写真から無作為に選んでいます。