寒くなった。海にも冬が降りてきた。さて、タチウオはどこに消えたのか? 駿河湾にいた。しかも、常にアタリがくる。かなりの数がいそうだ。やる気満々のタチウオが多いようだ。大井川港「海政丸」望月茂樹船長も「今はかなりすごい。サイズもデカい。初心者でも釣れちゃうよ」と自信をのぞかせる。ハイハイ、それじゃ現地に飛んで確かめてきました。たしかにビギナーでも…。
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あるSNSには、こう書かれていた。
「あっ!!ここまで測るんですか」
タチウオと思われる細長い尻尾の先端は120センチに達していた。全体は写っていないが、とても大きなタチウオに違いない。書いた主は、大井川港「海政丸」望月茂樹船長だった。
望月船長 いや、だって、タチウオの食べられるところまでが全長でしょ? これはジャスト1メートルというところですよ。
そんなタチウオが存在するのか? ぜひ、見てみたい…いや、釣ってみたい。
27日午前2時30分、大井川港。海政丸のライトはすべてともされ、船上は真昼に近い明るさだ。いざ、出船だ。乗船者は、常連の石川武さん(66=静岡市)、そしてタコボウズ記者。この日は望月船長も船を操舵(そうだ)しながらサオを出すようだ。
持参したのは、ライトタックル。オモリは60号。仕掛けのハリスはオモリに合わせて細めの2号とした。ハリも様子見で「2/0」からスタート。タチウオのハリは独特で、小さいハリは「1/0」、そして「2/0」「3/0」とだんだん大きくなっていく。
石川さんも望月船長も次々にタチウオを釣って船内に取り込んだ。好釣といえる。写真も撮れたので、もしや、自分も釣れるかも…サオを出して1分後。コツン、もぞもぞ…プチン-軽い。巻き上げると完全にサンマエサの付いたハリごと奪われてしまった。
石川さん えっ、ハリス2号なの? そりゃ無理だんべ。オレのは20号だもん。ハリも「3/0」。駿河湾のタチは格が違うのかもね。
道具箱にたまたまあった6号のハリスと「3/0」のハリで仕掛けをつくった。その直後、ガガン、と衝撃が手に伝わってきた。サオが逆Uの字になって、グイグイ引っ張られる。魚と綱引きをしている感じだ。体高8センチ、全長83センチの本命タチウオだった。
大井川港のタチウオ釣りでは「道具立て」も大事な要素ではあるが、深夜に港に集合して、船上で朝日を拝んで釣りができちゃう。釣れた匹数も気になる。大きさも気になる。ただ、朝日を浴びながら、釣りができる新鮮な喜びも感じてほしい。
夜中は海面から30~40メートルで激しく反応したが、夜が明けるとその深さは100メートルを超えていく。電動リールを使う方法もあるが、記者はあえて手巻きリールで通してみた。あくまで好みの問題なのだが、大きな充実感を味わえるので、挑戦してみてはどうだろうか?
タチウオ冬の陣は、駿河湾から広がっていきそうだ。今夏のタチウオ釣りで乗り遅れたというビギナー諸君、大井川港で腕試しをするのも悪くない。
▼船 大井川港「海政丸」【電話】054・622・2116。集合は午前2時30分。料金は釣る場所によって異なるため、電話で要確認。