東京湾にある野島防波堤でのマコガレイ釣りが、本格的なシーズンを迎えた。横浜市の「村本海事」(関口真一店主=58)では、10月に入るとバタバタと出始めた。例年よりも早いスタートにもかかわらず、連日のように40センチ級が釣れている。今から産卵を控えて肉厚にあり、煮付けや塩焼き、唐揚げなどにしてもうまい。潮の微妙な変化をつかんでカケアガリを攻めれば、良型にも出合えるかもしれませんゾ。

マコガレイはいろいろな食い方をしてくる。野島防波堤のドック先で、松澤修一さん(42=川崎市)はそれを見逃さなかった。住友造船所側に50~75メートルほど投げ、置きザオでアタリを待っていた。午前8時40分ごろ、リールのドラグがジーッと音を出し、道糸が出て行く。サオを手にしてアオって合わせる。「やりとりの最中に食い上げをしているのかと思ったら、途中でモターッと重くなった。明らかにカレイの食い方だった」(松澤さん)。

同9時ごろの干潮寸前には、今度は根掛かりしたと思って巻いていたら、宙層でヒラヒラと頭を振って横走り。得意の居食いを海底でこっそりとしていたようだ。2匹とも40センチ前後とまずまずのサイズだ。「潮が流れない時の方が食うという読みがピッタリだった。前年よりも数は出ているし、型もいい」と笑顔を見せた。

一緒に上がった中嶋幸雄さん(59=神奈川県大和市)の2匹目は、同11時35分ごろ。上げ潮が少し緩くなったタイミングで穂先を2度トントンとたたいた。「1匹目(9時45分、干潮からの上げ始め)はモソモソとした感じだった。その後に何度かエサ取りのフグにじゃまされたが、今回は明確なアタリだった」と話した。2人はサオ先の動きを見逃さなかった。

ドックに乗った3人のうち、森直寿さん(28=東京都狛江市)は同じようなタイミングで本命を確保していた。同9時ごろの干潮時と同11時ごろに41センチを連釣した。

こちらでは午後1時30分前後にゴールデンタイムが訪れた。森さんのほか、田中治樹さん(56=横浜市中区)、内野武志さん(50=川崎市)のサオが次々と絞り込まれる。いずれも沖目ではなく、造船所から八景島シーパラダイスにかけての側だった。「それまで東京湾口から湾奥にかけて流れる上げ潮が速く、激流になっていた。それが緩くなった時に食った」(内野さん)「緩くなったタイミングで仕掛けを流して根で止めて食わせた」(森さん)。海の微妙な変化を逃さず、獲物を確保した。

野島防波堤の周囲は砂地と岩場が点在している。砂地のカケアガリの周りにある岩場を探れば、カレイのアタリは出る。冬になれば防波堤に寄ってくることもある。過去には、10~15メートルほど投げた手前のカケアガリで出たこともある。

「10月下旬に西風が吹いて急激な冷え込みがあり、潮温も例年より低めの18・5度。条件がいいのか、例年よりスタートが早く、型もいい」(関口店主)。感覚を鋭くして、いざ勝負だ。【赤塚辰浩】

◆カレイ 砂や泥の海底に生息し、潜むのに適する平たい体をしている。目が体の右側に2つともある。日本近海で水揚げされるのはマコガレイをはじめ、マガレイ、ナメタガレイ、イシガレイ、オヒョウなど。マコガレイは、シロギスと並ぶ投げ釣りの人気魚種。30センチ前後が多く、最大約60センチ。大分県日出町沿岸産は、「城下カレイ」というブランドで知られる。マガレイは口が小さくとがっており、「クチボソ」とも呼ばれる。

▼渡船 野島「村本海事」【電話】045・781・8736。来年3月まで朝便は午前8時、昼便は同11時45分出船。沖上がりは午後4時。料金は4000円(半日3000円)。女性と中学生以下は1000円引き。木曜定休。事務所内ではアルコール消毒をお願いします。受け付けをしたら、すみやかに店外へ。乗船前後も密集しないようにして、船の後部デッキは3人まで。朝便で30人を超えた場合は2便を出します。http://www.nojimabouhatei.com/

【注意事項】

◆渡船 沖の防波堤に船が着岸したら、波で上下に揺られる。スタッフの指示に従って乗り降りする。岸と船べりが同じような位置になる寸前に、「どうぞ」と声を掛けてもらえる。荷物の揚げ降ろしは、同じポイントに上がる釣り人同士で協力し合う。

◆道具 周囲をいろいろな船舶が航行するため、足場の低い防波堤では、上げ潮時に予期せぬ大波をかぶる時がある。大事な道具は少しでも高い場所にまとめておく。

◆サオ 3本まで。キャストする前、必ず周囲(特に後ろ)に人や物がないか見回してチェックする。