3月19日~5月29日の約2カ月間で開催された東京湾マダイダービーは3匹の総重量で争われ、15・20キロで小山田昌広さん(50)が初優勝を飾った。

「自分には縁のないものだと思っていました」と優勝の感想を口にした。釣り歴25年だが、これまで大会などでの優勝経験はない。まさに釣り人生初のタイトル奪取となった。釣りを始めたころからマダイはずっと千葉・勝山「宝生丸」に乗船。「(高橋栄)大船長に育ててもらったようなものです。今年も大船長の船に乗っていたので、大船長に感謝ですね」とほほ笑んだ。

優勝をたぐり寄せたのは5月3日に上げた5・9キロの大ダイだが、これは全参加者の中でも1匹の最大重量となった。「あれは、上げるのに苦労したし、間一髪でした」と振り返った。「タナは40メートルくらいだったと思います。あの日は結構食っていましたが、自分はハリスを切られたりで、バラしが多かった。あの5・9キロは置きザオで掛かったのですが、その瞬間から大きいなと思いました。タモですくったときには針が折れていたので、本当に間一髪でした」と話した。

また、4月26日には5キロを上げている。「あれは恥ずかしい話ですが、釣ったのではなく“釣れちゃった”なんです」という。「仕掛けを回収しようとして電動リールのスイッチを入れたら掛かっちゃったんです。だから、ただのラッキーです」。そう恐縮するが、運も実力のうち。優勝の二文字は実力だけでは取れないことが多く、運も必要だ。

首位に立ってから最終日までは3週間あったが、その間は「優勝を意識するというよりも、そのうち抜かされると思っていた」と笑った。それまでの首位に立っていたのは富永起好さん(49)だが、「富永さんは共栄丸さんのブログにもよく出ていたので、うまい方なんだろうなって。なので、優勝はないと思っていました」と無欲の勝利となった。

そんな王者にマダイ釣りのアドバイスを求めた。「たいしたアドバイスはできないけど、最後まで諦めないで粘ることが重要かな。数釣りは誘った方がいいかもしれなくて、大きいのは置きザオで待つ方がいいかもしれない。いつもなから5分もしないうちに上げてしまうけど、今年は7~8分待って、落とし込みをすると食ってくることが多かったですね」と経験に基づく釣り方を教えてくれた。

東京湾マダイダービーは、日刊スポーツ共栄会の勝山「宝生丸」、富浦「共栄丸」、八景「太田屋」。久里浜「大正丸」の4宿で開催。期間中の入れ替えは何度でも可、1度エントリーすれば入れ替えはどこでも可で行った。今年は計63人がエントリーし、トップ10のうち6人が10キロオーバーとなった。