桜前線の北上とともに、各地の釣果が上向き始めている。3月は南岸低気圧が吹き荒れたり、急な冷え込みで気候が乱高下して不安定だった。その影響か、大物が釣れたり数が伸びる乗っ込みが遅れている釣りもある。今月下旬からゴールデンウイークにかけて陽気が良くなれば、いろいろな釣りが面白くなりそうだ。【赤塚辰浩】


バス遅れ気味だったけどそろそろシーズン

松屋でヒットした46センチのブラックバス
松屋でヒットした46センチのブラックバス

■茨城・千葉

遅れ気味だった卵を抱えたブラックバス、「ビッグママ」のシーズンがそろそろやってくる。茨城・新利根川「松屋」では、「2~3週間遅い。ゴールデンウイーク前には乗っ込みになると思う」と松田健一店主が期待を寄せる。狙うのは、周囲にゴルフボール大とか野球のボール大の石が点在している砂地。これに水中で深くえぐれたアシが生えていたり、ボートを係留するための杭(くい)、オダ(エビや小魚を捕るために木などを束ねたワナ)などがあるとか、沈んだ船などの障害物があるといった複合条件がつけば、大型がいる可能性が高い。「ダウンショット、ネコリグ、ラバージグなどで居場所へ一撃必殺の直撃弾を放り込めば面白い」(松田店主)。

千葉・亀山湖「ボートハウス松下」では、松下広明店主が「本湖では水が濁っており判別できないが、乗っ込みになっていてもおかしくない」と言う。濁りが取れ始めれば、浅場に入ってきた大型バスをスイムベイトやビッグベイトなどで何度も表層引きして誘うといい。

■富士五湖

一方、標高の高い富士五湖はゴールデンウイーク過ぎになりそう。河口湖「ハワイ」の渡辺一孝店主は、「例年なら第1陣がシャロー(浅場)に入ってきているが、今年は遅い」と話す。西湖「白根」の渡辺安司店主は、「そろそろ始まるかという感じ。富士五湖の中でも遅めに始まり、そこからがだらだらと長く続く」と解説する。河口湖や山中湖と違い、西湖は湖底に平らな部分が少なく、バスの産卵場所が限られるという。一般には人間の視界でとらえやすい浅場で産卵する。西湖の近年の傾向として、目視できない水深7~8メートルの深場に巣を作るようだ。

渡辺安店主は「産卵を終えて弱ったワカサギが浜に打ち上げられる。それを捕食しようとやってくるバス狙いが面白い」と、もう1つの狙いを挙げた。西湖はワーム禁止。10センチ前後のフローティングミノーやペンシルベイトといった表層系ルアーで、ワカサギを演出して誘うのがセオリーだ。

◆乗っ込み(ノッコミ) 産卵期に入ると、魚が普段いる深場から産卵のため浅場に上がってくる現象。深場から浅場で「乗り込む」という言葉が、変化して「乗っ込み」になったとされる。ブラックバス釣りの場合、「スポーニング」と呼ばれる。産卵を控えて栄養を蓄える時期と、産卵後で体力の回復に努める時期も含め、全般にこの時期にさしかかると大型が釣れたり、数が伸びるといわれている。


マダイ&フグ海で面白いターゲット

共栄丸では桜の開花とともにマダイの釣果が上向いてきた
共栄丸では桜の開花とともにマダイの釣果が上向いてきた

海の乗っ込みといえば、やはりマダイだろう。千葉・富浦「共栄丸」や、静岡・久料「魚磯丸」は4月に入るとともに、乗っ込みの便りがやってきた。「房総半島の山々の桜が咲き始めれば、タイの乗っ込みが始まります」(共栄丸・笹子宏宣船長)。サクラダイの季節到来だ。共栄丸は6月16日まで、魚磯丸は5月26日までそれぞれ「マダイダービー」を開催している。

鍋のおいしい冬が旬と思いがちなフグもこの時期、産卵期を迎える。茨城の大洗「きよ丸」鹿島「第三幸栄丸」はショウサイフグを狙う。潮温が高いため、例年より2~3週間早くシーズンに突入しそうだ。最盛期は5~6月。千葉・勝山「宝生丸」ではトラフグを狙う。21世紀に入った直後から稚魚放流を手がけてきた効果か、自然繁殖して絶対数が増えているらしい。

どちらも白子の天ぷらは最高。毒性があるが、港へ戻ったら免許のあるスタッフが下処理してくれるので、ご心配なく。

ヒラメ&ワカサギこの時期ラストチャンス

外房で大判ヒラメに出合うチャンスはゴールデンウイークまで
外房で大判ヒラメに出合うチャンスはゴールデンウイークまで

この時期にラストチャンスとなる釣り物もある。海の代表格は、5月6日までの千葉・外房地区のヒラメ。例年水深50メートルほどの深場を攻め、5~6キロ台の大判が連日バタバタと出ることがある。まさに「駆け込み需要」を求めるならここだ。大原・力漁丸の中井聡船長は、「オモリを底ベッタリに着けるのではなく、1メートル上げて誘う。エサと生きイワシの孫針は、イワシの頭の方に向ける。尾ビレの方だと獲物がはじいてバラしてしまう」とアドバイスしてくれた。

精進湖ではシーズン終盤になってワカサギが連日好釣
精進湖ではシーズン終盤になってワカサギが連日好釣

湖川では今月21日で終わる山梨・精進湖「湖畔荘」のワカサギが面白い。トップは、連日1000匹台を記録している。サイズは平均5センチと小さいが、群れが濃い。サオは何本出してもいいので、3本の場合「底ベッタリ」「宙層」「水面から2~3メートル」として、よく食うサオに遊泳層を合わせる。これが数を伸ばすコツになる。

協力店
協力店