最近話題の人工知能(AI)が診療にどう影響してくるか? 医師たちにアンケートしたところ、なんと9割が「AIで診療する時代が来る」と答える驚きの結果になりました。

 ◆来る(10~20年以内)

 ・診断においてはすでにインターネット検索に依存している医師が多いのでは? 時間の問題だと思っています(循環器内科、50代男性)

 ◆来る(20~50年以内)

 ・将棋や囲碁では、名人の次のクラスに勝てるようになっている。病気の診断は、名人クラスでなくても多くは診断ができ、簡単である。よって、人工知能で診断できると思われる(一般内科、50代男性)

 ◆来ない(100年たっても来ない)

 ・わずかなニュアンスや兆候までを察知できる人工知能にはなかなか到達できないのではないでしょうか(一般内科、50代男性)

 ・結局、インフォームドコンセントを結ぶのは医師-患者間。機械が責任を負えないし、負わせたくない(一般内科、30代男性)

 最近、東大が「ワトソン」に学習させた2000万件以上の論文データから、まれな白血病を診断したというニュースがありました。近年、医療とAIは大きなトピックですが、医療分野において一体どれくらいのことがAIで可能になるでしょうか。ワトソンの例のように、診断学においてはかなりの貢献が期待できます。

 医師1人が読める論文の量には限界があり、その中から適切な情報を引き出すにはある程度の経験も必要です。その分、膨大な量のデータを蓄積し、検索をかけることは、AIを使えば人間よりもはるかに速いスピードで可能でしょう。

 しかし実際の診察となるとどうでしょうか。特に小児科などでは、患者はしゃべって症状を訴えることができないので、診察はより動物的な観察を必要とします。目の色や目線が合うかどうか、患者が放つ空気感のようなものが時として重要になってきます。その辺りはAIが進歩してもなかなか難しい領域かもしれません。

 手術などの領域では術者をサポートする機能が可能になり、より多くの術者が恩恵を受けるでしょう。AIが医療に寄与していくことは間違いなさそうです。

 ◆真鍋歩(まなべ・あゆむ)医師・医学博士。1984年(昭59)7月6日生まれ、東京都出身。日大医学部卒。専門は眼科。現在、日大病院眼科研究医員として臨床・研究に従事しながら、メドピアグループが提供するオンライン医療相談サービス「first call」運営に参画。自身も同サービスで健康相談に応じる。