仕事が多忙となり、睡眠時間や健康を考えた時に思い立った禁酒生活。そのもっとも高いモチベーションとなったのが、子育てと仕事の両立だった。禁酒と合わせて自分で作ったルールが「22時までに子どもと寝る」こと。現在6歳の娘とは、21時目標、遅くても21時半には寝る、と約束している。1歳から欠かさず寝る前に行っているのが絵本の読み聞かせだ。最近は日本の新鋭作家の絵本も多く、斬新な着眼点に感動させられることもある。そんな素晴らしい文化に親子で触れながら、自分もゆったりとした気分になれる時間はまさにストレスオフで、晩酌よりもよほど健康的な就寝術だ。絵本に限らず、子育てはそれまで触れることのなかった新しい発見と刺激の連続である。現在子どもが6歳ならば、親は親6年生。日々、子から学ぶことが多い。

▼一世を風靡(ふうび)したロックスターのダイアモンド☆ユカイ氏が、「イクメンライフ」を実践していることをご存じの方も多いと思う。50歳を過ぎながらも、子育てこそロックと言わんばかりに楽しんでいる姿に感銘を受け、彼の講演を聞きに行ったことがある。講演会を主催したNPO「ファザーリングジャパン」は、子育てと仕事を両立している人や、主夫などが多数参加している団体だ。男性の子育てが特別であるかのように印象付ける「イクメン」という言葉を一刻も早く廃れさせることを目標に活動していて、私も参加している。子どもと過ごす時間をとりながら仕事にもまい進する参加者らは、ライフスタイルを保つためのタイムマネジメント(時間管理)などを工夫し、楽しく子育てと仕事を両立している。

▼男性の子育てが盛んな国として有名なノルウェーでも、20年前までは現在の日本と同じ状況であったという。しかし政府が主導して進めたムーブメントにより、今や男性の育休取得率は約90%を誇る国家になった。日本にもそのムーブメントは必ず起こせると信じているが、そこにはしっかりとした哲学と長期の計画が必要だ。その根底には、ワークライフバランスの重要性や、ひいてはストレスオフそのものが文化となる、という考えがあるといえるだろう。