ショウガはショウガでも、「生」と「乾燥もの」では、効果に違いがあります。まず、ショウガは体を温めるものとして知られていますが、生のショウガ(紅しょうがも生)は、体を冷やすと考えられています。

ショウガの辛み成分として、「ジンゲロール」と「ショウガオール」「ジンゲロン」があります。殺菌作用があるとされ、昔から、すし店に置いてあるショウガを酢づけにしたガリは、ショウガの殺菌作用を期待して、食中毒を予防するためにすしと一緒に食べるようになったようです。

生のショウガにはジンゲロールが圧倒的に多いのが特徴で、鎮痛、解熱、消炎、発汗効果によって、体温を下げようとする効果があるとされています。

それに対し、乾燥ショウガに多く含まれる「ショウガオール」は、代謝をよくし、深部から熱を作り出す働きがあるため、身体を芯から温めて持続させる効果があります。加熱処理したり乾燥させたりすることによって、ジンゲロールはショウガオールに化学変化することが知られており、冷え性の改善やダイエットには、温めたショウガや乾燥ショウガが有効とされています。

「ジンゲロン」は、長時間の加熱によりジンゲロールから分解して作られます。かなり強い辛み成分です。血流をよくして身体を温める効果があるほか、頭痛、肩こり、冷え性の改善、脂肪の燃焼に役立ってくれます。

また、ショウガには、胃腸の運動を活発にして消化吸収を促進する効果があります。もともと胃腸の弱い人が食べ過ぎると、腹痛を起こすことがあるほか、胸焼けや下痢なども生じることもあります。まれなことですが、ぼうこうの内壁が炎症を起こして、血尿が出ることもあるといいます。これまでの特記事項は、いずれも尋常ではない量を食べた場合で、目安の量(生のショウガで1日10~20グラム程度、乾燥ショウガなら1~2グラム程度)であれば、特に大きな問題はありません。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。