コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。私たちは感染予防で最善の注意を払いながら毎日を過ごしています。ストレス社会の今、心と体の健康状態をいかに維持するか、医療ライターのしんどうともが考えていきます。

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禅僧、精神科・心療内科医の川野泰周さんが説く穏やかな心を保つコツとは。

「“受け止めて切り替える”-これが大事なのです。すなわち“評価しない”とはそういう意味なのですが、きちんと観察するけれど、“良しあし”を判定しない、判定を持ち越しにするということです」

“心を判定する”とは、自らの感情に取り込まれ、とらわれることを意味する。

「悲しいことをダメなものだと判定してしまうと、悲しみはどんどん増大していきます。“悲しいことは忘れなきゃいけない”と思えば思うほどその悲しい体験はどんどん増幅されていく。要するにその感情から離れられなくなってしまうわけ。考えるなって言われるとかえって考えてしまうものなのです」

そんなとき、どうすれば?

「“悲しみよこんにちは”のように、悲しみは自分の中に居てもいいんだよって思ってあげると、心はだんだん癒えていく。癒やされていくのです。自分の感情や思考を決して否定しない、これがマインドフルネスの大前提。自分の感情と仲良くしていくイメージです」

つらい過去のことは忘れようと思えばそのぶんトラウマ(心の傷)は強くなってしまう。反対に、“その過去があったから今がある”と考えることも大切だとか。川野さんが続ける。

「過去から学べたこともあると考えて、ネガティブなイメージが解き放たれることで、人はもうその過去の出来事は気にならなくなってくるものなのです」