光栄にも東京オリンピック(五輪)テニス競技のテクニカル・デレゲート(TD)に、国際テニス連盟(ITF)から任命されました。TDとは、競技運営の責任者で、テニス競技ではレフェリーとともに、競技を円滑にトラブルなく運営していく役目です。

他の屋外競技と同様に、テニスも東京五輪は酷暑対策が大きな鍵を握ります。勝敗や盛り上がりも大事ですが、最優先は選手と観客の方の安全です。施設に関しては、組織委員会や東京都との話し合いで対策を練りますが、競技運営はITFが重要な役目を担います。

会場のセンターコートは開閉式の屋根があります。しかし、他のコートは、直射日光が当たります。1日のコート割り、時間割などで、なるべく日中の試合を減らす工夫。選手間の昼夜のバランスとか、臨機応変の対応が必要になります。また、一定の気温や湿度を上回ると、セット間に休憩を入れるとか、試合自体を止めるといった酷暑ルールの設定も考えています。

実は私の父(故栄一氏)は、テニスを五輪に復帰させ、88年ソウル大会から12年ロンドン大会までTDを務めたITFの役員でした。テニスを五輪に復帰させるため、当時のITF会長と、夜通し話をしていたことを、私も小さいながらに覚えています。

今、あらためて父の偉大さを感じています。難題にぶつかると、父ならこういう時にどうしたのだろうかと、いつも考えます。父と同じ道を歩めることは非常に光栄ですが、責任も重大です。少しでも東京五輪のテニス競技を成功させたい気持ちで、今はいっぱいです。(292人目)