日本財団パラリンピックサポートセンターはこのほど、元SMAPの稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾がスペシャルサポーターに就任したと発表した。

 社会的に影響力が強い3人がイベントに足を運ぶと記したツイッターのリツイート数は1万を超え、広報担当者は「パラ競技に興味を持ってもらい、生の魅力を知ってもらいたい」と、現地観戦者が増えることを期待した。

 11月の初旬には、100メートルを10秒台で走る海外の義足アスリートが、特設トラックが敷かれた東京・渋谷の街を疾走した。買い物客は足を止め、その迫力を堪能した。イベントの関係者は「パラ陸上の大会より、よっぽど多くの人が見た」と笑った。NHKは障害者のリポーターを起用すると発表。自治体や競技団体主催のパラスポーツ体験会も花盛りだ。

 一方、競技会場の観客席は関係者が多くを占めるなど、観戦は文化として定着していないとの見方がある。競技普及も視野に、パラアスリートとして珍しいプロとなった陸上男子の山本篤(新日本住設)は「パラリンピックの認知度は100パーセントだが、選手名を挙げられる人はほとんどいない」と指摘する。

 リオデジャネイロ・パラリンピックでは、国家主導で強化を続ける中国が100個以上の金メダルを荒稼ぎする中、日本はゼロに終わった。激しい競争を勝ち抜いた五輪選手に比べ、選手数が少なく競争が緩いという意見もある。パラリンピック6大会に出場し、競泳で日本人最多の21個のメダルを獲得した河合純一氏は「トップ選手の環境は整ってきている。ただ、まだそんなに練習できていない。あとは指導者、本人の覚悟」と選手側の意識向上を求めた。

 五輪にあってパラにないものとは。山本は「かわいい、かっこいい、すごいと思われるスター選手が必要。お気に入りの選手を見つけてほしい。そのためにメダルは必要」と語った。