のっけから、集まったファンの心をわしづかみにした。

「こんにちは、長州小力です」。

長州力(左)が高知に来た!
長州力(左)が高知に来た!

場所は共同通信社杯が行われていた高知競輪場、時は決勝が行われた最終日の17日だ。プロレスラーの長州力さんがトークショーのゲストとして登場し、いきなりギャグで爆笑を誘ったから驚いた。

当方は学生時代に長州力率いる維新軍団に心酔していて、同時期のプロレスを愛してきたヤマコウさん(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)から「栗田さん、今回長州力が来るよ」と教えていただいたのだから、取材の合間を縫って当然、足を運んだ。

長州さんは今年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」に、長州の幕末の猛将・来島又兵衛役で出演。「リキ・ラリアット」を披露した末に壮絶な戦死を遂げた。「長州砲」は今なお健在だ。

さて、前振りが長くなったが、「長州砲」といえば、今の輪界では清水裕友選手。一部では輪界の高杉晋作などともいわれている。山口県から久々に現れたG1タイトルを狙える選手で、先行して良し、まくって良し、そしてヨコにさばいても良し。まだデビュー5年目の23歳だが、パワー、スピード、技術、そして度胸とすべて一級品だ。

共同通信社杯でブレイクした清水裕友
共同通信社杯でブレイクした清水裕友

今大会、その清水が初日から2、1、2着で勝ち上がり、決勝でも、優勝した平原康多選手から4分の1輪差の2着と大健闘した。準決突破後「夢のようだ」と話し、決勝2着後は「一瞬夢を見た」とコメント。まさに「夢を語れる男」といっていい。

童顔ながらがっちりとして強靱(きょうじん)な肉体、そして素直で朗らかな性格。今大会ブレイクした山崎賢人、太田竜馬にも全く引けを取らない近未来のスター候補生だ。「(同県の先輩の)桑原(大志)さんの活躍を見て、自分も同じステージで戦いたいと思ってきたけど、これからは下の若手の見本になれるように頑張りたい」と実にストレートな受け答えができる。取材していてスポーツ選手らしい、本当に気持ちのいい選手だ。

この後は向日町G3から■(■は寛の目の右下に「、」)仁親王牌と進む。ぜひ次はG1の決勝で「夢がかなった」と言ってほしい。頑張れ、清水選手! 

【栗田文人】