ヴィッセル神戸の初優勝は感無量だった。阪神・淡路大震災の95年に生まれたチームは、25年をかけて初タイトルを取れた。「復興のシンボル」であり続けるチームへ、心からおめでとうと言いたい。

フィンク監督の作戦勝ちだった。準決勝では中盤の底を務めたサンペールが、2度の決定的なミスをした。鹿島アントラーズは穴と見て、徹底的にサンペールを狙ってくる作戦だったはずだ。予見した監督がサンペールを外し、イニエスタを3列目まで下げて守備に軸足を置かせた。3バックの前で狙われても球を失わず、無失点の要因になった。

神戸のクラブ発足時、チーム全体はさほど技術がないのに球を奪われなかった。目標に向かって1つになれば、プレーに迷いがなくなる。今はレベルが上だが、私たちがJリーグ昇格へと向かっていた時代と雰囲気が似ている。ACLへの出場は楽しみだ。(日刊スポーツ評論家、95~00年まで神戸所属)