「2万8560秒=476分」。実はこの数字はJ2清水がホームで得点できていない時間(ロスタイムは除く)です。
昨年9月26日、J1広島戦で後半19分にFW鄭大世(32)が得点して以来、チームはホームのアイスタでゴールを挙げることができていません。広島戦後の仙台、柏戦は無得点。J2となった今季も、既に3試合を消化してノーゴールなので、5試合連続無得点と「ホームゴール欠乏症」に陥っています。さらに、昨年5月30日の川崎F戦から約10カ月間ホームで勝てていないことも、得点できない悪い状況に拍車を掛けています。
原因は多々あると思いますが、一番の問題は精神的な部分だと感じます。昨季、クラブは初めてJ2に降格。今季は主力の大半がチームに残留し、J2ではトップクラスの戦力を維持したまま開幕を迎えました。前評判は高く、サポーターからは「勝って当然」という声をよく耳にします。
しかし、選手たちはその事が過度なプレッシャーになっているようです。単純に「勝ちたい」と強く思う一方で「負けられない」「失敗はできない」という思いを持っている選手も少なくありません。
ミスを恐れ、リスクの高い大胆なプレーは極力しない。慎重なプレーを心掛けるあまり、一瞬の判断が遅れてチャンスを逃す。いざ、決定機を迎えても、力みすぎてシュートに精彩を欠く。
実際に今季のホーム3試合ではこのようなシーンが多く見られました。逆にアウェーでは2戦2勝。しかも、2試合とも完封勝利を収めています。選手は毎試合勝ちたいと思ってプレーするのは当然で、特にホームではその気持ちは強くなります。ただ、今の清水の選手たちはその事を強く意識しすぎているようにも見えます。
とはいえ、プロ選手である以上、結果を求められることは当然です。小林伸二監督(55)はチームの置かれている現状を理解した上で「力が入りすぎているかもしれない。そうならないためのコーチングをしていくことも大事」。MF河井陽介(26)も「考えすぎるのはよくない。きれいにやろうとするのではなく、選手間のフィーリングを大事にしてもいいのではないか」と話していました。
開幕から5試合が終わり、清水は9位。首位熊本とは勝ち点5差です。次戦はその熊本とアウェーで対戦し、4月9日に現在2位のC大阪をホームに迎えます。他クラブの結果次第ですが、数字上ではC大阪戦後に首位に立つ可能性もあります。
鬼門となってしまっているホームでの呪縛を解き、昨季から続く“降格ショック”を一蹴する選手は誰なのか-。1分、1秒でも早くゴールを奪い、声援を送るサポーターに勝利を届けてほしい。そう強く思います。
◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。



