佐久長聖(長野)が2時間2分44秒で、9年ぶり2度目の優勝を果たした。昨年は失速した4区の本間敬大(3年)が区間賞の力走でトップとの差を縮め、勝利に貢献した。連覇を狙った倉敷(岡山)は2位。

 失敗を糧に成長した佐久長聖の4区本間が、都大路を駆け抜けた。連覇を目指してトップを行く倉敷から、38秒遅れてタスキを受けた。「思ったよりも差があるな」と感じたが焦りはない。「去年とは違って、周りがよく見えた。沿道からの声援が力になった」。落ち着いた走りで差を12秒に縮め、5区富田につなぐ。堂々の区間賞だった。

 仲間の力も引き出した。6区の1年生鈴木が「本間先輩が差を縮めてくれた。自分がやるしかない」とトップに浮上。アンカーの山本主将が引き離し、9年ぶりの頂点に輝いた。4人が区間賞を獲得し、強力な留学生を擁する難敵に1分27秒差をつける完勝。高見沢監督は「1区が想定より伸びなかったけれど、他の選手が補った。本間がいい形で(チームを)締めてくれた」と目を細めた。

 雪辱の舞台だった。昨年も4区を任されていた本間は、トップでスタートしたが後半に失速。倉敷に抜かれ、チームは2位に終わった。「この1年間は常にあの失敗を頭に置いていた」。悔しさを忘れないため、自分が追い抜かれる瞬間の写真が載った新聞を寮の部屋に張った。そんな思いを感じていた高見沢監督も「本間が4区を走ることはずっと決めていた。リベンジしてほしかった」と同じ区間を任せた。

 20年連続20度目出場の節目の年を日本一で飾った。本間は「今日を一番の目標にしていた。優勝できてよかった」と口元を緩めた。苦しい1年を乗り越えた先に涙した昨年とは違う都大路が待っていた。【中島万季】