国際オリンピック委員会(IOC)は16日、20年東京五輪のマラソン、競歩の開催場所を東京から札幌に変更する検討に入ったと発表した。

すでに国際陸連にも通知をしたという。東京五輪は猛暑の影響が、かねて心配されていた。IOCの発表によると、その対策として、五輪期間中の日中の気温が「5~6度ほど低い」とする札幌を代替地として提案したという。日本陸連関係者は、本番まで1年を切った段階での変更は困難を伴うだけに「まったく聞いていない」と困惑した様子だった。

◇北海道陸協の岡部壽一名誉会長 ドーハの世界選手権でもマラソンや競歩でリタイアがたくさん出てしまった。なにより死者が出たら大変。選手が力を出すためにも、今の状況ではとなって、関係者が動いたのかなと思う。北海道は毎年8月に北海道マラソンをやっているので、大丈夫なのかなと思います。

◇「遮熱性舗装」など東京五輪の猛暑対策を懸念する論文を発表した樫村修生東京農業大教授(運動生理学・環境生理学) IOCの判断には、ドーハで開かれた世界陸上が影響していると思う。ドーハのマラソン、競歩は深夜でもあの状況だった。東京は午前6時スタートを繰り上げても、日射がある環境になる。毎年8月に開かれている北海道マラソンは最高気温が28~30度になることがあるが、湿度が低く、暑さ指数は全く東京と違う。選手だけでなく、ボランティア、観客のためにも、マラソン、競歩を北海道でやることに大賛成だ。準備期間はないが、ぜひ北海道でやってほしい。

◇秋元克広・札幌市長 突然の報道にたいへん驚いています。札幌市としましては、たいへんありがたいことと捉えたい。アスリートファーストの視点での検討とのことですので、最大限尊重すべきと考えます。まずは情報の収集に努めてまいります。

<マラソンメモ>

◆13年1月8日 五輪招致を目指す東京都が立候補ファイルを公表。マラソンコースは国立競技場発着で浅草を折り返す計画。

◆14年8月5日 環境省が皇居周辺などのコースに、体感温度を下げる高保水舗装材を敷くなど猛暑対策の指針を発表。

◆15年4月20日 国土交通省がマラソンなど公道で行う競技の暑さ対策を話し合う有識者会議を発足。

◆18年5月31日 東京組織委員会がコースを正式発表。雷門、東京タワー、皇居外苑など都内名所を巡るコースに。

◆18年7月18日 IOC理事会で組織委員会が提案した午前7時スタートが承認される。招致段階から30分前倒しとなった。

◆19年4月16日 東京組織委員会が各競技日程を発表し、男女マラソンは午前6時スタートにさらに前倒しされた。

◆19年9月15日 本番とほぼ重なるコースで、男女の五輪代表を一発選考するMGCが開催され、男女各2人の代表が内定した。