伊藤華英のハナことば

ラグビーに熱くなる最大のチャンスが来た/伊藤華英

先日、ラグビーのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)が行われた。そのパブリックビューイングに参加して感じたラグビーの魅力、見るスポーツの魅力を伝えたい。


8月3日、日本-トンガ戦の様子。中央は日本代表トンプソン・ルーク
8月3日、日本-トンガ戦の様子。中央は日本代表トンプソン・ルーク

まずこのPNCで、日本代表の試合が岩手県釜石市で行われたことから紹介したい。

日本代表は7月27日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われたフィジー戦で34-21の勝利を収めた。私はこのスタジアムのこけら落としにもうかがったし、この地に対する思いは本当に深い。地域の人たちが、このスタジアムに夢を乗せて、ラグビーワールドカップ2019が来ることを待ち望んでいる。

素晴らしい試合をした日本代表にも拍手を送りたいが、今回一番感動したのは、1万6000人もの観客が釜石に足を運んだことだ。私もできることなら釜石に行って、頑張っている地元の人たちに再会したかった。

いろんなラグビー選手のSNSを拝見していたら、「素晴らしい会場だった」など、ポジティブな発言が飛び交っていた。ひそかに私はこのスタジアムのファンでもあるから、とてもうれしかった。

そんな思いのある釜石での勝利。日本代表はとてもいい雰囲気に見えた。「前回大会の2015年と、いい意味で全く異なる強い日本代表チームだ」と、フィジー戦を見ていて感じた。

PNCはワールドカップの前哨戦とも言える大切な試合だ。2006年からこの大会は始まり、南半球のチームはこの大会に参加し続けてきている。これからワールドカップの日本代表メンバーも選出されていくし、選手たちにとってもとても大事な試合になる。


そんな釜石でのフィジー戦のいい雰囲気を残しつつ、私が参加したのは、8月3日に新宿で行われたのトンガ戦のパブリックビューイング(PV)だった。結果は41-7で勝利。素晴らしい試合だった。

その結果にも高揚したが、日本有数の繁華街として知られる東京・新宿歌舞伎町のど真ん中で行われたPVは、大いに盛り上がった。ゲストは元日本代表でラグビーワールドカップ2019アンバサダーの梶原宏之さん、元日本代表の解説者で大学のラグビー部でも指導する栗原徹さん、さらにサッカーの元日本代表でタレントとしても活躍する武田修宏さん、モデルでタレントのゆきぽよさん、そして私だった。MCは日本テレビアナウンサー鈴木健さん。この方もさまざまなスポーツに詳しく、安心できた。

個人的には、武田さんがラグビーを応援してくれることが本当にうれしかった。サッカーもラグビーも同じ「フットボール」だし、互いにもっと応援し合えたらいいケミストリーが生まれそうな気がする。

それに、ゆきぽよさんのような方がラグビーを応援してくれるのもとてもうれしい。「ラグビーのこと全然知らないけど、かっこいい」。そう話していたのが印象的だ。誰だって最初はビギナーだし、見てくれることこそが大事だと私は思う。

どうしてもラグビーは「ルールが難しい」「新参者は応援しにくい」といったことをよく聞く。私だって最初は何も知らなかった。でも周りにいたラグビー関係者は、すごく丁寧に教えてくれた。選手たちは心からラグビーを愛し広めたいと考えている。私は、ラグビーに関わる人たちの情熱に心を動かされた1人だ。垣根は自分で作らなければいいと思うのだ。

今回ご一緒した梶原さん、栗原さんもそうだが、みんな聞けば教えてくれるし優しい。ラグビーを見たことのない人、興味のない人も、今年のワールドカップはこの「熱い」人たちに仲間入りするいい機会だと思う。

「4年に一度じゃない。一生に一度だ」。このキャッチコピーも見慣れたが、人生の中で知らない世界を知ってみるのもいい。

では、このPVで日本代表を応援するファンはどんな方だったか。日本代表ジャージーに身を包んだ人が多数。始まる前から「勝利を確信している!」と気合十分で、熱い人ばかりだった。若い女性も多く見られ、すごくにぎわっていた。私たちのトークにもみなさんしっかりとうなずいてくれて、とても一体感のあるイベントになった。

その後、日本は8月10日にフィジーで行われたアメリカ戦も34-20で勝ち、PNCは3戦全勝で8年ぶりの優勝を果たした。9月20日開幕のワールドカップへも弾みがついた。


東京・新宿の歌舞伎町で行われたパブリックビューイング
東京・新宿の歌舞伎町で行われたパブリックビューイング

私は元々競泳の選手で、現役時代は自分が出る試合や他の競技を見てモチベーションは上げることしかしていなかった。自分の結果を一番に考えなくてはならなかったからだ。

引退してうれしかったのは、スポーツ観戦に一喜一憂できることだ。選手が頑張る姿に、同じ気持ちになって興奮したり残念がったりする。たくさんの感情を共有できるのがスポーツ観戦の醍醐味(だいごみ)。勝敗があるのが面白いところだ。

ラグビーワールドカップまであと1カ月。老若男女問わず、みんなで一喜一憂することが今から楽しみだ。世界中のスーパースターたちがこの日本にやってくる。全ての選手を、心から応援したい!

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)

競泳界で「美女スイマー」として活躍し、北京、ロンドン五輪に出場した伊藤華英さんが、水泳に限らずさまざまなスポーツの魅力をアスリート目線でお伝えします。
 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。01年世界選手権で初の日本代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪で自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程修了。日大非常勤講師。173センチ。

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