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東京五輪は大丈夫?ZOZO大会運営面課題を教訓に

土砂降りの雨に打たれながら、開催まで1年を切った20年東京オリンピック(五輪)に思いを巡らせた。

ウイニングパットを沈めファンの声援に応えるタイガー・ウッズ(2019年10月27日撮影)
ウイニングパットを沈めファンの声援に応えるタイガー・ウッズ(2019年10月27日撮影)

男子ゴルフで日本初開催となった米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(千葉・習志野CC)が、10月24日から4日間の日程で開催された。25日の第2日は大雨の影響で中止になり、大会は28日の月曜日までずれ込んだが、無観客試合だった日があったにもかかわらず、多くのタレントをそろえるPGAツアーの初開催とあって期間中、約5万5000人が来場。試合も13年ぶりに日本開催に参戦したタイガー・ウッズ(米国)が、サム・スニード(米国)の持つツアー最多82勝に並ぶ勝利を挙げるなど、大いに盛り上がった。

大会はおおむね成功だったという向きは多い。確かに試合に関しては、世界最高峰の技とパワーの競演を間近で見られるなど、日本で米ツアーが開催された意義は大きいと言える。が、一方で運営面では課題も残した。

練習日から最寄り駅の千葉ニュータウン駅、印西牧の原駅には、送迎バスを待つ長蛇の列ができた。記者も何度となくその列に並んだが、バスに乗るまでに2時間近く待たされることさえあった。さらに、乗車し、会場に近づくと道幅も狭くなり、大渋滞で動かない。会場に着くまでに相当な労力を費やし、ギャラリーの中には、「会場に着くまでに疲れてしまった」と話す人も多かった。

さらに、第2日は注意報が出るくらいの大雨。記者は船橋のホテルに宿泊し、始発の電車で移動したが、船橋駅はシャッターが開く前からギャラリーでごった返していた。最寄り駅に着くとすでに大行列ができていた。大粒の雨に打たれながらバスを待ったが、状況がまったく分からない。バスはいつ出るのか、大会は中止なのか-。ずぶ濡れのギャラリーに状況を説明する係の人はいない。ようやく乗れたバスの中で中止の決定を知ったが、それもギャラリーのSNSの情報だった。

いら立つギャラリーの怒号を聞きながら、ふと、東京五輪が頭をよぎった。五輪会場は、埼玉・霞ケ関CC。会場までの道幅は狭く、交通の便もいいとは言えず、同じような状況が予想される。五輪期間中は、酷暑ということも考えれば、ZOZOチャンピオンシップでは最寄り駅から徒歩で会場に向かうギャラリーもいたとはいえ、五輪では徒歩での移動は相当きつい。

五輪競技を管轄するのは、五輪ゴルフ連盟(IGF)で、今回とは違う。とはいえ、今年8月の東京五輪テスト大会として行われた日本ジュニア選手権は、システム上のテストはしたが、ギャラリーを入れてはおらず、輸送や動線に関しての“予行演習”は行われなかった。IGFのドーソン会長は、対策に自信を見せてはいたが、ZOZOチャンピオンシップの大混乱を経験した身としては大丈夫? と思わずにはいられない。

五輪では、1日2万5000人のギャラリーの来場が予想されている。同じように送迎バスなどの問題は浮上するはず。また今大会では、動線があいまいで、選手が通る通路やコースにまでギャラリーが押し寄せることもあったように、スタッフ、ボランティアのルールと意識の徹底を図っていく必要もあると思う。

東京五輪では、マラソン、競歩が札幌での開催に変更になったばかり。ZOZOチャンピオンシップで浮き彫りになった課題を教訓に、もう1度、選手、ギャラリーの移動、送迎の経路などシミュレーションし、見直す必要があるのではないだろうか。約9カ月後の五輪で、ストレスなく最高峰のプレーを堪能できることを期待したい。【松末守司】

(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

トッププロの高く、スピンがきいたアイアンショットはグリーンにピッチマークと呼ばれる着弾痕を残します。ゴルフ担当記者が国内外のツアーなどの取材を通じて、ピッチマークのように心に残ったエピソードや、思ったこと、感じたことなどをつづっていきます。

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