負けても、大記録を逃しても「強い」という印象が残った。13日まで行われた国内女子ゴルフツアーの今季2戦目、明治安田生命レディースで、西郷真央(20=島津製作所)が2位。その前週の開幕戦でツアー初優勝しており、史上初となる開幕2連勝と、史上3人目となる初優勝からの連勝はならず、1打差で敗れた。
最終日は、グリーン上でボールが跳ねて、わずかにパットを外す不運が重なった。それでも「ほんのちょっとのツキが、ちょっとずつ、ずれてしまったと感じた」と話すにとどめた。優勝は、最終日に最終組で回っていた自身よりも、2組前で回っていたサイ・ペイイン(台湾)。「前で回っている方の勢いというのは、こっちは止められない部分ではあるので、自分が伸ばせなかったというのが反省点」と、冷静な口調で振り返っていた。不運を嘆くよりも、自身に足りなかったものを補うため、次の1歩を踏み出している印象を受けた。
西郷は「強い選手」「強いゴルファー」という言葉をよく使う。師匠の「ジャンボ」こと尾崎将司も使う言葉だ。明治安田生命レディースで、昨年からの連続アンダーパー試合数は、歴代最長の「25」となった。ともに昨年中に記録が途絶えた、歴代2位で16試合の西村優菜、同3位で15試合の稲見萌寧を、大幅に上回っている。それでも昨季は西村4勝、稲見9勝に対し、西郷は未勝利だった。2位は7度。「強いゴルファー」への思いが、日増しに強くなるのも当然だ。
昨年、自身のインスタグラムに、写真とともに「1打足りず2位でした」や「2位でした」から始まる文面を、数多く投稿していた。特に印象的だったのが「1打足りませんでした」と冒頭に記した文面とともに投稿した、スタンレー・レディース最終日、昨年10月10日の写真。多くのプロゴルファーは、インスタグラムにショットを放つシーンなど、いわゆる「かっこいい」写真を掲載する。だがその日の西郷は、グリーン上で頭を抱え、しゃがみ込んでいる写真を投稿した。
最終日の最終18番で、決まればプレーオフのバーディーパットを外した時のものだ。そこには「どんなに悔しくても、自分を信じて全力でプレーし続けて、笑顔で終えられる日が来るまで、めげずに頑張ります」という文面も記されていた。そして今季は開幕戦でツアー初優勝を果たし、2戦目で2位。技術面以上に、精神的に「強い」という印象が強く残った。
2位だった今季2戦目の明治安田生命レディース最終日、ホールアウト後の会見では、態度も変化していた。昨季7度の2位の時は、終始伏し目がちでの受け答えだったが、今回2位の際は、1度目が合うと、じっとこちらの目を見て回答していた。こちらの思い込みかもしれないが“自信”を身に付けたような気がした。
ツアー通算50勝で、一時代を築いた不動裕理も、初優勝まで6度も2位を経験するなど苦しんだ。通算8度目の2位となったが、不動と重ね合わせるほど、弱冠20歳にして風格も漂い始めた。「弱冠」は、新聞社では20歳限定で使える表現。21歳を迎える10月までの半年余り、「弱冠20歳」の西郷の快進撃が続きそうだ。【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)


