プロ11年目の飯島茜(31=フリー)が5年ぶりのツアー7勝目を挙げた。通算3アンダーで元賞金女王全美貞(32)とのプレーオフに入り、6ホール目にバーディーで決着。海外勢の開幕からの連勝を「2」で止めた。男子の永久シード選手・片山晋呉(42)に師事して約3年。師匠のお墨付きのスイングで復活Vを飾った。

 プレーオフ6ホール目。飯島が勝負に出た。「やっとフルショットでいける」。18番パー5の第3打は、ピンまで92ヤード。50度のウエッジでピン前1・5メートルにつけた。全美貞がバーディートライを外すと、満を持してチャンスを決めた。

 前夜、片山から電話があった。「自分から攻めちゃダメ。まずフェアウエーに置いて、フルショットの距離が残った時だけ狙うように」。次戦の地・宮崎に移動する福岡からのフライトもキャンセルしていた。1時間46分の死闘。5年ぶりの優勝の喜びは、涙でなく、疲れと安堵(あんど)感の笑みに変わった。

 プロ2年目の06年から順調に重ねた優勝が、10年の6勝目を最後に止まった。年齢は20代後半。若手が次々出てくる。危機感に駆られ、片山に弟子入りした。2月中旬の宮崎合宿に合流して、声をかけられた。「もう大丈夫だね」-。アウトサイドインのスイング軌道が修正され、インパクトゾーンが長く、フォローが大きくなった。入門から約3年かかって、理想のスイングを手に入れた。

 「勝ちたい、という気持ちが消えたら、引退と思う。35歳まではバリバリやりたい」。前回優勝時より能弁になった31歳に、全盛期が訪れつつある。【加藤裕一】

 ◆飯島茜(いいじま・あかね)1983年(昭58)7月11日、千葉県八千代市生まれ。ゴルフは13歳から。堀越高卒。全国中学校選手権V、日本ジュニア2位、日本女子アマ8強。05年プロテスト合格。06年近未来通信クイーンズで初優勝。昨季賞金ランク41位。157センチ、50キロ。

 ◆最長プレーオフ 88年ツアー制施行後、7ホールが2度。02年5月ヴァーナルレディースで、久保樹乃が木村敏美、山崎礼奈を破った。06年7月スタンレーレディースでは、古閑美保が大山志保を破った。ツアー制前には10ホールがある。86年6月ダンロップレディースで吉川なよ子が沢田さと子、■阿玉を破った。

 ※■はサンズイに余