短い準備期間を「1日2分割作戦」で倍にする?

  男子ゴルフの谷原秀人(37)が11日午前、14日開幕の全英オープン出場のため、羽田空港から英国へ向け出発した。

 前日の10日に武藤とのプレーオフを制して、日本プロ選手権で優勝。国内男子ツアーでは、自身が07年に達成して以来、9年ぶりとなる2週連続優勝を果たしたばかりだ。

 「ちょっと大変だけど、がんばってきますわ」と谷原。最終ラウンドがプレーオフに加え、雷雲接近のため2回、計約3時間30分も中断したため、北海道から帰宅したのは午後11時。スタッフが英国遠征用の荷物をまとめ終えたのは、日付が変わった午前3時だった。そして午前7時には、搭乗便へのチェックインのため羽田空港入りした。

 ハードな日程は、先週に始まったことではない。5月の中日クラウンズから国内6戦で優勝2回、3位2回、5位1回と常に優勝争い。その間に全米オープンに出場し、決勝ラウンドに進出するなど、高い集中力が求められ続ける過酷な連戦が続いてきた。

 帯同する西井寛トレーナーは「連戦と長距離移動で、全体的に筋肉の張りは相当強い」と明かす。さらにこの日は、ロンドン郊外のヒースロー空港からグラスゴー空港への乗り継ぎ便が、ストで欠航。到着が大幅に遅れ、現地11日中にコースの下見を済ませる予定までが崩れた。

 それでも谷原は「全英は楽しみだからね」と高いモチベーションで遠征に臨む。現地での準備期間が2日しかないが「向こうは午後9時過ぎまで明るいから、いざとなったら練習ラウンドを2ラウンドすればいいでしょ」とニヤリ。

 「朝早く出て、18ホール終わったら仮眠して、夕方3時にスタートすれば36ホール回りきれるよ」。仮眠をはさんで1日を2分割し、2日分の準備を進めるという、驚きのプラン。本当に決行するかは微妙だが、谷原は冗談とも本気ともつかないように、最後まで真顔で言い切った。

 5月の全米オープン国内予選では、1日36ホールを回って3位に入り、出場権を獲得。さらに3日後開幕のミズノ・オープンでも5位に入り、全英オープンの出場権を手にした。1週間で2つのメジャー切符を手にした鉄人だけに、今回の過酷な日程も乗り切り、上位進出を目指す。