男子ゴルフの松山英樹(24=LEXUS)が12日、契約メーカーであるダンロップの新しいボール「スリクソン Zスター」「スリクソンZスター XV」の記者発表に出席した。

 2年ほどの開発期間をへて来年2月10日に発売となる「スリクソン Zスター」新シリーズには松山も深く関わった。こだわったのは、ショートゲーム時の「高く澄んだ音」だったという。「僕自身もその(表現する)言葉がうまく見つからなくて『澄んだ音』というフレーズだけで(メーカーの方に)いろいろやってもらった。それが分かっていれば、もっと早く(できていたかも)…」と苦笑するが、こだわりは半端ではなかった。

 「皆さん、耳をふさがれて打った場合、感覚がほとんどなくなると思うんですよね。僕自身は音を大事にしてクラブも選んでいますし、ボールも選んでいます」と、道具を選ぶ上での音の大切さを語る松山。最初はホテルの部屋でパターを使ってボールの音を聞き、それからコースに出て打ってみる。「室内のこもっているところで感じる音と外で実際にコースで打つ音は違う」という徹底ぶりだ。

 60種類に及ぶ試作品をテストするなど、入念な試行錯誤を重ねてたどり着いた。「ZスターXV」のプロトタイプを使った1月のテストラウンドでは「『このボールでいこうかな』と思った11番のショートホール1発目でホールインワン。しかもキャリーで(ノーバウンドで入った)。このボール、いけるんじゃないかなと思いました」という縁起の良さを感じさせる出来事もあった。実戦投入は米ツアー2勝目を挙げた2月のフェニックス・オープンから。16年終盤の快進撃にもつながっている。

 夢の中でまで松山と打合せをしていたというメーカー担当者が「史上最高のZスターができた」と胸を張り、松山も「スピン量が増えたおかげでピンをデッドに狙っていけるのが、ここ最近、いい結果につながっている要因。(マスターズが開催される)オーガスタの16番(パー3)とか、スピンの利いた球でピンポイントで狙いたい時、このボールだったらそういう球が打てるという自信ができた。来年はこのボールを使って優勝を目指したい」と重ねてアピール。信頼の1球とともに、日本男子初のメジャー制覇へ突き進んでいく。