青木瀬令奈(24=三和シヤッター工業)が待望のツアー初優勝へ、ロケットスタートを決めた。7アンダー、ノーボギーの65は、昨年11月伊藤園レディース第2ラウンドで記録した66を更新する、ツアー自己ベストだ。

 「夕べに今日の目標を5アンダーに決めたんですが(10~12番の)3連続バーディーで8アンダーに切り替えました」

 中学2年生だった06年に日刊アマ全日本大会を制するなど、ジュニア時代から活躍しているが、根っこは音楽。群馬でライブハウスや音楽スクールを営んでいた両親の影響で「セレナーデ」から「瀬令奈」と命名された。楽器演奏もお手の物で、ゴルフのプレー中は「頭にジャズ・ピアノのメロディーが流れて、そのリズムを大事にする」という感性の持ち主だ。

 考える、内面を重視するのは昔からで、昨年は「よりメンタルを鍛えたい」とフィル・ミケルソンのメンタルコーチの著作「ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法」を、要点をノートに書き写すほど熟読した。

 「人間は常にいろんな思考が脳を流れているそうです。問題はいかにその中のポジティブな思考の流れに乗れるかなんです。もちろん、できないときはまだできません。今日はたまたまその流れに乗れただけという感じです」

 先週の開幕戦ダイキン・オーキッド・レディースから11年使い込んできたパターを、新しいものに替えた。理由は技術的なことだが、ヘッドに「$」や「¥」のマークがデザインされている。「気持ち的にも稼げる気がして」とイタズラっぽく笑った。