日本人で唯一出場の松山英樹(29=LEXUS)が、2位に4打差をつけて首位に立ち、メジャー初優勝、3年8カ月ぶりの米ツアー通算6勝目に王手をかけた。1イーグル、5バーディー、ボギーなしと7つ伸ばす65で回り、通算11アンダー、205。雷雲接近で11番のティーショット後から77分間の中断に入ったが、再開後に猛チャージ。11番からの8ホールで6つも伸ばした。首位で出たジャスティン・ローズ(英国)ら通算7アンダーで2位の4人よりも、頭1つ抜け出した。日本男子初のメジャー優勝が、現実味を帯びてきた。
ホールアウト後の記者会見での一問一答は以下の通り。
-中断中にスマートフォンを見ていたが
松山 ゲームをしたり、何も特別なことはしていないです。ただケータイを見ていただけです。
-スタート時点で、2位に4打差で首位に立っていることは想像できたか
松山 全然想像してプレーはしていなかったけど、本当にいいプレーができたと思う。明日の朝、今日と同じような朝の感情でプレーできたらいいなと思います。
-辛うじてパーを拾うことができた18番パー4の第3打の状況は
松山 ダウンヒルで、雨で少しウエットになっていて、ボールが滑ってくれると思ったので、低めの転がしでうまく寄せることができました。
-明日優勝となれば、日本人男子初のメジャー王者となるが、どんな気持ちになりそうか
松山 どうか分からないので、明日全力を尽くして、その時の感情になればいいんじゃないかと思っています。本当に、自分のベストを尽くしたいと思っています。
-同組のシャウフェレと日本語で話していたようだが
松山 そんなに多くの会話はないですけど、日本語の冗談を言ったりしてくれるので、そこで笑いながらやって(プレーして)いました。
-アジア・パシフィックアマチュア選手権で優勝して、11年に初めてマスターズに出場した。ここまでの道のりは
松山 ここに初めて来た時は、震災(当時在籍した東北福祉大のある仙台市も被災した東日本大震災)があったので、まずここに来ることができるか分からない状況だった。ここに来て、ローアマチュアを取ることができて、そこでこの場を経験していなかったら、今の自分はないと思っています。そういう意味では10年前に、ここでプレーできたのは、今でもすごく心に残っています。
-その11年は第3ラウンドを68で回ったが、そこで自信がついた部分はあるか
松山 そうですね。今でも覚えているんですけど、ホールアウトした後に、9番を終えたスティーブ・ストリッカー(米国)に「ナイスプレー!」と言われたことが、すごく今でも残っています。オーガスタで60台で回ることが、すごいことなんだなと、あらためて思いました。
-小さいころのマスターズの思い出などはあるか
松山 一番最初に見たのはタイガー・ウッズが優勝したところ。(05年大会最終日にウッズが見せた伝説的なバーディーの)16番のチップインもテレビで見ていて思い出がある。その場で、いい位置にいるというのはすごくうれしいですし、明日、いいプレーができるように準備したいです。
-10ラウンド連続でオーバーパーなしの理由は
松山 分からないです。でもいいプレーを続けることが、明日勝つために大事なことなので、いいプレーができるように頑張りたいです。
-コロナ禍で日本の報道陣が少ないことで、重圧も和らいでいる部分はあるか
松山 そうですね。マスターズは日本のメディアの方も来てくれるけど、その中で囲み取材というのは苦手ですし、大勢に囲まれるというのがすごく苦手。去年からコロナの影響で、少し人数も少なくなっているということで、自分的にはすごく楽になっています。
-中断後はミスショットがなかった。中断中に何か気付いたことがあったのか
松山 中断する直前に、今週で一番悪いショットというぐらいのドライバーショットを(11番で)打ったので、これ以上、悪いショットはないだろうと思って、その後はプレーしました。
-15~17番のクラブは何を使ったのか
松山 15番はティーショット、セカンドとも、ほぼ完璧でしたし、16番も。15番は5アイアン、16番は8アイアンで、17番はピッチングウエッジ。15番の5番アイアンのセカンドショットが一番良かったと思う。
-65の自己ベストだが、どこに成長を感じるか
松山 あまり成長を感じたことがないので、分からないです。
-4年間勝てなかったのはどうしてか
松山 いろんな問題はあったと思うんですけど、それが今年からコーチを付けて、自分1人で何がダメとか、フィーリングだけでやっていた部分を、自分が正しいと思いすぎていた。今は客観的な目を持ってもらいながら、正しい方向に進んでいるとは思っている。今年は全然いい成績は出ていないけど、今週みたいに3日目までいいプレーができているので、明日もできると思って準備したいなと思います。