女子シングルス準々決勝に進んだ中学3年生の伊藤美誠(14=スターツ)は、12年ロンドン五輪でシングルス、団体戦と2冠の李暁霞(中国)に敗れ、メダル獲得はならなかった。

 それでも1、2ゲーム目を奪い、第5ゲームもジュースにまでもつれる大接戦。試合中こそ完全アウェーだったが、試合後は観衆総立ちで拍手が送られ、客席から身を乗り出してサインを求める中国人ファンが殺到。王国中国で、たしかな足跡を残した。

 ロンドン五輪女王で現在は世界ランク3位の李暁霞は、第1ゲームから本気で向かってきていた。特に1、2ゲーム目は、高速のラリーとなる展開でも押し切る場面が目立った。真っ向勝負で堂々と渡り合った。「ダブルスで負けた時は悔しかったけど、シングルスは自分のプレーができた。悔いはないけど、ちょっと惜しかったから悔しい」と、矛盾する感想が、達成感と大金星を逃した残念な思いが交錯する心情を物語っていた。

 2度目の対戦ながら、李暁霞も「想像以上だった。技術面で独特のすぐれたところがある。この若さでベスト8に進出したことは、本当によくやったと思う。将来性があるし、すばらしい選手」と絶賛。前回対戦した2年前からの成長ぶりに目を見張っていた。

 もともと緊張や重圧とはほど遠い性格だが「(準々決勝が)1番緊張しなかった。相手が李暁霞選手で、向かっていくだけだったので」と、最後までハツラツとしたプレーをした。2回戦で敗れたものの、同学年の平野美宇と組んでダブルスにも出場した今大会を振り返り「すごい楽しい戦いだったし、すごいたくさん経験もした大会だった」と、目を輝かせていた。