スーパー大回転の2レースが行われ、第2レースで男子座位の森井大輝(36=トヨタ自動車)、女子座位の村岡桃佳(20=早大)がそろって今季W杯初優勝を飾った。
悪天候が予想されたため7日のレースを前倒しして同一コースで1日2レースを実施。第1レースでも村岡は2位に入り、5日の大回転から3レース連続で表彰台に上がった。男子座位では狩野亮(30=マルハン)が第1レース、鈴木猛史(28=KYB)が第2レースでともに3位。男子立位の三沢拓(29=SMBC日興証券)は第1レースで3位だった。
森井は16歳の時、バイク事故で脊髄を損傷。入院中の98年3月、長野パラリンピックのアルペンスキーで活躍する選手の姿をテレビで見て「これだ! これをやりたい!」と興奮した。事故に遭う以前はモーグルスキーの選手として活躍し、スキーやバイクのスピード感に夢中になっていたから、座って滑ることができ、なおかつ抜群のスピード感があるチェアスキーに一目惚れしたのだった。
競技を始めると、すぐに頭角を現した。02年のソルトレイク・パラリンピックに初出場。14年のソチ大会まで4大会連続出場している。06年のトリノ大会の大回転で初めて銀メダルを獲得し、10年のバンクーバーでは滑降で銀、スーパー大回転で銅、14年のソチではスーパー大回転で銀メダル。さらにW杯の年間総合優勝を2度達成している。今や、押しも押されもせぬ日本代表チームの頼れるリーダーなのである。
輝かしいパラリンピックの記録からも、大回転、スーパー大回転は得意種目であることがわかる。だから、9年ぶりの自国開催となった今大会でも結果が期待されていた。
ところが初日の大回転では5位に。大会2日目に行われたスーパー大回転の1レース目でも同じく5位。「大回転でも、スーパー大回転の1レース目も急斜面での滑り方に問題があった。最後のレースだけはギアをもう一段階上げなくてはいけないと臨みました」(森井)。
スタートしてすぐに急斜面となる。そこで森井はスキーをスライドさせずカービングで攻めた。さらにターン弧を縦長に描き、旗門ギリギリをタイトに狙った。
本来スーパー大回転のような高速系種目は、1日1レースしか実施されない。しかし、今大会では翌日の天候悪化が予想されたため、第2日に同一コースセットで2レースが行われるという異例の事態となった。
「どれだけリスクを冒してスピードに挑戦できるか。1本目のレースでの問題点を2レース目で修正できたことは収穫でした」。
一方、初日の大回転の3位に続き、スーパー大回転で1位、2位につけた村岡は、「素直に嬉しいです!」と喜びを爆発させた。「これまで優勝したことはありますが、その時にはトップ選手の誰かが欠場していた。今日はトップ選手がフルに出場している中で優勝できた。それを実現したが自国開催のW杯だったというのも嬉しさが倍増します」。
大回転で使用していた最新モデルのフレームを、スーパー大回転では以前使用していた鈴木猛史モデルに変更して出場。「練習の時、高速系では前のマシンの方がいいタイムが出ていた。それを実際のレースでも結果として出せたことは来年の平昌に向けて自信になりました」。
今季、男子座位では、オランダの17歳の新星ユルン・カンプシャーら若くて勢いのある選手の成長や、以前からのライバル選手らのレベルアップが目覚ましく日本チームは今ひとつ成果を出せずに苦しんでいた。自国開催のW杯スーパー大回転での表彰台で、日本チームここにあり、の存在感を見せつけたのだった。【宮崎恵理】


