世界19位の錦織圭(28=日清食品)が、14年決勝で敗れた同7位のチリッチ(クロアチア)に2-6、6-4、7-6、4-6、6-4で雪辱し、2年ぶり3度目の4強に進出した。

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錦織の描いたシナリオ通りの試合だったのだろう。会心の笑みがそれを表していた。勝利への物語は第3セットのタイブレークから始まった。チリッチの連続ダブルフォールトに助けられ、最後は第2サーブをバックハンドでダウンザラインに打ち抜いて2-1とリード。ただ、この時点でビッグサーバー攻略には至っていなかった。

第4セット、錦織は策を打った。リターンを警戒して第1サーブで勝負しようとするチリッチに対し、ポジションを大胆に変え始めた。よりコートの奥深くに、時には前に。精神的な揺さぶりに加え、距離感を惑わせ、サーブの球筋を再度見極める狙いもあったはず。このセットは落としたが勝利への道は開かれた。

錦織は第5セット、チリッチの第1サーブに正確に反応した。まるで想定するコースにボールを呼び込んでいるようだった。チリッチの第1サーブ確率はセットごとに上昇傾向だったが、得点率は第5セットに急落して45%。212キロ、214キロのサーブをバックスライスで返してミスを誘い、最後は狙いすましたフォアクロスのリターンウイナーで勝負を決めた。過酷な戦いの中で戦略を練り、実行した錦織という選手にあらためて驚かされた。(亜大教授、テニス部総監督)