2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は24日、大会期間中の各会場に「アサガオ道」を設置する「フラワーレーンプロジェクト」の第1弾として、小学生による種まきを行った。

実施したのは都立臨海青海特別支援学校の小1児童約25人。参加した女児は「面白かった。水色の花が咲いてほしい」と笑顔で語り、男児も「赤がいい」と楽しそうに話した。

今回種まきしたアサガオは、7月に潮風公園(品川区)で行われるビーチバレーのテスト大会で実際に設置される。今後は神奈川・江の島で実施されるセーリングのテスト大会でも、同様の取り組みを行う予定。

同プロジェクトは、一般的には金属フェンスなどが使われる観客の誘導路の一部に、小学校で育ててもらった朝顔の鉢で代替する。大会時は約4万鉢を想定。組織委警備局の岩下剛局長は「鉄製のフェンスだと大会時は資材費高騰や、設置・撤去費用もかさむ。フラワーレーンだと、費用も抑えられるし、何より、おもてなしになり、涼しげにも感じる」と話した。

アサガオだけでなく、高さ約90センチになるものなら、花に限らず他の植物や、植物以外のアイデアも募集中だという。実際に、ヒマワリという案も浮上している。

岩下氏は「前回の東京五輪を小さい頃に経験した方に聞くと、今でもすごく記憶に残っていると聞く。小さな子どもたちがこういう形で参加できれば、良い思い出になると思う」と述べた。大会本番では会場近くの小学校などに、種まきを協力してもらいたい考えも示した。そうすれば実際に会場に足を運び、自分たちで育てたアサガオ道を見られるからだ。大会後には鉢を各学校にレガシーとして返却する。

岩下氏はさらに「警備と聞くと、厳しいイメージがあるが、大会は敵を調べるのではなくて本来楽しみに来るもの。ものものしいより、花でリラックスしてもらえたら」と語った。

子どもの経験や教育、観客や選手のおもてなし、さらには経費節減と、少しの発想の転換でこれだけのメリットが生まれたことで、国際オリンピック委員会(IOC)も大絶賛した。組織委がIOCに聞いたところ、会場入り口がフラワーレーンになったことは過去大会で聞いたことがないという。

東京大会を勝ち取った「お・も・て・な・し」。子どもたちの手によって咲くアサガオの花で、現実のものにする。【三須一紀】